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第一章 絵画教室・アトリエくれよん

「広い庭のある、赤い屋根の家。ここかな?」  宮崎 心路(みやざき こころ)は、7歳になる息子・彩人(あやと)の手を握りなおした。  男性にしては細身の、華奢な体つき。  軽くウェーブのかかった、栗色の髪。  そして、白い肌。  総合的に見て儚く感じるその外見は、心路がΩであることを物語っていた。  そして、その息子・彩人も。  小学生にしては低い背丈に、細い手足。  心路ゆずりの、栗色の髪と白い肌。  このΩの親子は、地区で評判のアトリエを訪れていた。 (どうかこの子が、ここを気に入ってくれますように)  祈る気持ちで蔓バラの絡んだ門をくぐり、家屋への小道を二人で歩み始めた。  庭は緑の芝生に覆われ、春の花が美しく花壇を彩っている。  手入れの行き届いたその庭は、家主の性格を物語っているようで、心路は好感を持った。  そして、木をあしらった味わい深いドアの前に立つと、深呼吸をして呼び鈴を鳴らした。

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