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明らかにその通りですと示すかのように、勝手に上昇する心拍数と頬を中心に全身から発生する熱。 「…っ、ち、ちちがうぞ!?いや今多分何故か顔が赤いと思うが、身体がオレの許しを得ずに一方的に体温を上げ始めただけで全然今の言葉が図星だったとかそういうのじゃないからな!」 何も違わないだろ、と脳内で自分にツッコむ。 ぶんぶんと振る腕と首の速度が異常だ。 あんまりにも強く否定しすぎてどこかに吹っ飛んでいきそうだった。 (…絶対にばれてる) こんなのばれないはずがない。 …そう、思ったのに。 しかし、こんな動揺しまくってるオレをきょとんとした表情で見ていたさっくんは、不意に顔を綻ばせて頷いた。 「ええ。存じております」 「嘘なんかついてな…っ、て……え?…ほん、と…?」 「はい」 「う、うむ。そうか。わかってくれたか。物わかりの良い執事を持って主人として鼻が高いぞ」 嘘…だろ、とこっちがびっくりするようなまさかの反応。 念のためにちらちらと顔を窺っても、訝しんでいる様子なんて全くなかった。 にこにこと快い笑顔を浮かべているさっくんを見て、…良かった。とほっと安堵に息を吐く。 どうやら納得してくれたらしい。 良し。ご飯を再開しよう、とした …その時 「では、何故赤くなられたのでしょう」 「っ、?!!」 安心して緩みかけた全身に一気に緊張が走った。

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