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………
………………
…すること数十分程度、
「……っ、な、んで…ッ」
指や手の平と性器の皮膚が擦れて、痛い。
全然イケない。
それどころか気持ちよくない。
最初にとろとろと出てきてちんちんに塗り付けていた我慢汁は、時間の経過とともに既にかぱかぱに乾いていた。
亀頭も竿もぷにぷにで寒天みたいにやわらかくなってしまった。
とりあえず何回も擦り続けているけど全く快感がない。
すりすりすり…
「…っ、ん、ん゛ぅ…っ、ぃ、ぃ゛だ…っ、ひ…っ」
痛みに耐えながら、前に突き出すように腰をのけ反らせ、両手でちんちんを擦る。
(なんで…っ、この漫画の男はちゃんと、白いの出せてるのに…っ)
気持ち良くなるどころか、…むしろ無駄に擦り続けたせいで赤く腫れてきたそこは悲しいことにへにょんと垂れて萎えたまんまだ。
あの後別の友達にも「ひとりでイケないのはやばい。夏空はまだ子ども」と揶揄うように言われたのを思い出し、半泣きになる。
「っ、ぅ、え…ッ、さっ、くん…っ、ひぐ、さ゛っく゛ん゛…ッ、」
情けないことに悔しさによる涙まで出てきた。
えぐ、としゃくりあげて喉をひくんと痙攣させる。
(…いつも、さっくんにどうやってもらってたっけ……?)
わからない。
いつもはやり方なんて見てなくて、ただ凄く気持ち良くて、声を出してれば良いって言われて、…だからそれだけしか考えてなかった。
そのせいで、今真似しようと思ってもどうやってやってたか思い出せないから、むーと頭を悩ませたとしても何の助けにもならなかった。
「はい」
「ーーっ、」
涙を堪えながら俯き、きゅ、と唇を噛みながらにゅぽにゅぽしているオレのすぐ真後ろから聞こえた柔らかい声。
その聞きなれた返事に対し、全身に溢れる安堵感。ぶわっと熱くなった瞼から一気に涙が零れ落ちる。
「…ぅ、っ、さっくん、さっくんー…」
「…夏空様…、」
後ろを振り向こうとすると、首に両腕を回され、抱き竦められた。
ゆっくりと顔を向かせれば、眉尻を下げて心配そうにこっちを見下ろしている執事の姿があった。
膝をつきながら視線を合わせてくれるさっくんに、だーだー泣きながらいつもみたいに両腕を広げて抱き付こうとして、
…おいで、と絵本の王子様みたいに、いつものようにふわっと温かくて綺麗な笑みを浮かべて手を差し出してくれてるさっくんに慰めてもらおうとして
(……あれ?)
その瞬間、この状況がどこかおかしいことに気づいた。
はた、と気づいてしまった異常な光景を…今目の前にいる人物を…あるはずのない現実をすぐには受け入れることができず、目を数度瞬いた。
「……っぎゃあああ?!!」
「…?!夏空様?!!どうかなさいましたか?!」
驚いて内蔵を口から出す勢いでびっくりした。
ずざざっと、距離をとるようにその人物から後ずさる。
けど、
ぐいっ、
「…っ、わ、」
「御心配は無用です。貴方は必ず…この命に代えても俺が御守り致します」
その真摯で熱を帯びた声に、ドキ…とさっきとは違う音が心に響いた。
そして今、…何故かオレの心臓に一番負担をかけているはずの相手に強引に抱き寄せられ、片手で頭をぎゅっと胸に押し付けるようにして腕の中に閉じ込められている。
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