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さっくんが元気になったみたいでなによりだ。 …熱く潤んだ瞳で、そんなさっくんを見上げていると、 「…っ、…ふぁ…」 「ふふ、…やらしいですね…」 まだ片方の手は押し付けられ、絡められ、きゅ、と繋いだままで 唇の端からこぼれてた唾液を、唇全体に指先でなぞるようにぬりつけられた。 …微かに開いている唇の隙間を割るようにしてクチュリと入ってきて、舌先に縁を描くみたいにして触れられると、くすぐったくて冷たい指の感触にぶるっと身震いした。 少しそこを遊ばれた後…引き抜かれたその長くすらっとした指を見ると全体がてらてらと光っていた。 そうされてる間もずっと興奮しているような恍惚とした表情を浮かべ…どこか真面目な顔のさっくんに見下ろされ、ゾクリとする。 「……オレじゃなく、て…さっくんがえろすぎるんだよ…」 (…あー…息が苦しい…あたま痛い…くらくらする…) どっと疲れた。 いまだに胸の上下が激しい。 「これを…まいにち、…みんなしてる、と思うと…すご…い…な…」 息もたえだえに感心の言葉を吐く。 前にさっくんが言っていた。 家族は親愛のキスをするんだと。 仲が良いって証拠にするんだと言ってた。 「…まー…さっくんが、げんきなった、なら、良い、か…」 「…っ、…夏空、様…」 “ぎゅんってして、胸を撃ち抜かれました“ よくそう言ってるときみたいに、 何故か苦しそうに胸をおさえたさっくんがぽっと頬を染め、まだ倒れたままのオレにまたぎゅうっと抱き付いてくる。 キスの後だからちょっとそうされると…結構暑い。 …というか、相変わらずオレがこんなにぜーはーしてるのに、さっくんは今ではほとんど何事もなかったような感じで…その余裕の差がいつもむかつく。 「あと、一応言っておくけど、…さっくんはペットじゃないぞ」 そう呟けば、何故か動揺したように瞳を揺らすさっくんの頬にそっと手で触れる。 「家族、なんだからな」 「……っ、」 わかったか、とちょっと強めに言うと、顔を歪ませ、なんだか今にも泣き出しそうな表情をした。 「…はい…っ、」 感極まった声で「ありがとう…ございます…」と抱きついてくるさっくんの頭を撫でながら、 …さっきからずっと嫌ってほど実感してた別のことに小さくため息をはいた。 「…あーもう、…さっき風呂に入れてもらったばっかなのに…汗でべとべとだし、………また出ちゃった…」 がくり、と頭を垂れた。 下着の中で、びくびくしてるちんちんのまわりに……べちょーって濡れてる不快感がある。 びくってしてぶるぶる腰を浮かして跳ねてたのに、そのタイミングを狙ったようにキスしてくるさっくんを受け入れ…もういいか。したいようにさせようって思ったのは気持ち良かったからだ。 (…きもちいいのにほんと弱いなー、オレ…) 今もちょっとまだぴくぴくして擦れると気持ち良いし…弱すぎる気がする。 ―――――― (あーもう、) (これもさっくんがところ構わず触ってくるせいだ) そんな気持ちに項垂れて、子どもみたいにぎゅうぎゅうしてくるさっくんの頭をよしよししたのだった。

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