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…でも、なんか凄く子どもっぽい理由な気がして…言いたくなかった。 「…俺ではもう、夏空様のお役に立てませんか?」 「…さっくんは大げさすぎるんだよ」 唇を結んで黙り込んでいると、 両手を包み込むみたいにそっと触れてきた…オレよりしっかりとした大人の男な手の平にきゅっと握られ、…しゅんとしながら窺うように顔を覗き込まれ 「それとも…誰かに、何か言われたのでしょうか」 「…っ、」 微かに低くなった声音に、ぞわっと寒気がする。 びくっと大げさなくらい身体が跳ねて強張った。 「日下部様、」 「…ち、ちがうぞ…っ!」 試すように呟かれた苗字に、首をぶんぶん横に振る。 けど、 「……嗚呼、やはり」 何故かばれてしまったらしい。 口元に指先を当てたさっくんが長く黒い睫毛を伏せ、…思案するような表情をした。 「そうですか。…本当にいつも余計なことばかりしてくれますね」 (…なんか、更に雰囲気が怖くなったような、気が…) どうしてくれようか、とそんな感じの言葉を続けて小さく呟き、視線を逸らす。

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