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第6話
冗談かどうか確かめるも、城崎の目見たらわかる。
本気だ。
「俺が冗談言うと思いますか?」
「わ、悪い。」
わぁ。怒ってる。
俺が茶化したからだと思うけど。
「てか、ちょ、待って!なんで?!なんで俺?!」
「好きに理由とかいりますか?」
「城崎、さっき優しくて頼り甲斐のある、ちょっと馬鹿なところが可愛い人って言ってたじゃん!!俺、馬鹿じゃないよ?!」
「馬鹿でしょ。言うつもりなかったのに俺のこと焚き付けて。先輩が悪いんですよ?」
「何?!いつ焚き付けた?!俺なんかしちゃった?!」
「俺、先輩のこと好きで好きで堪らないのに我慢してたんですよ?一年間も。そんなことも知らずに俺の身体ベタベタ触って、挙げ句の果てに格好いいやら見惚れてたやら。馬鹿以外のなんなんですか?しかも寝落ちして隙だらけだし。だからこうやってホテル連れてこられてるんですよ?分かってます?」
い、一年間?
つまり入職してからずっと俺のこと好きだったってこと?
てか俺、馬鹿なの?マジか。
「なんかショック。」
「はい?」
「城崎、俺のことずっと馬鹿だと思ってたの?」
「それは言葉の綾です。天然で抜けてて可愛いってことです。悪い意味じゃないですから。…というか、そこですか?」
「何が?」
「気持ち悪いとか、そゆの言わないんすか…。」
城崎の声はどんどん小さくなっていった。
俺の上から身体を退かし、ベッドの上で対座する。
俺のこと押し倒してさっきまで凄い圧かけてたのに、急にしおらしくなった。
なんか仔犬みたいで可愛い。
頭を撫でてやると、上目遣いに俺を見てきた。
「別に。お前の恋愛観否定する気はないよ。好きって言われたら普通に嬉しいし。」
「先輩…」
「だからってオッケーはしないけどな。俺、女の子が好きだし。でも城崎は俺が好きなんだろ?諦めてくれとしか言えない。」
そう伝えると、城崎は俺の手を両手で握った。
振ったはずなのに、キラキラした目で俺を見ている。
え、何?俺、なんか不味った?
「先輩のこと、もっと好きになりました。」
「え?」
「先輩、知ってますよね?」
「何を?」
「俺が狙った獲物は逃さないってこと。」
あぁ、そうだ。
城崎は営業部のスーパールーキー。
狙った獲物は必ずモノにする。
もしかして、やべぇ後輩に好かれちゃった?
俺はたらりと汗を流した。
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