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第10話
初めて飲んだスクリュードライバーは思っていたより口当たりが良くて美味かった。
料理もめちゃくちゃ美味くて箸をすすめる。
カクテルがあまりにも飲みやすくてガンガン飲んでいると、城崎に止められる。
「また、悪酔いしますよ。」
「らいじょーぶ。」
「もう呂律回ってないじゃないですか。」
城崎は「お冷ください。」と店員に頼み、俺をソファに横たわらせた。
酒を飲む城崎をぼーっと見つめる。
本当、顔綺麗だな。
鼻高ぇし、キリッとした目元に薄い唇。
絶対イイ女も落とせんのに、こんな俺に惚れてるなんて本当勿体ねぇ。
「先輩、飲めますか?」
「ん。」
上体を起こし水を飲み干した。
少しレモンが効いてて美味い。
「もう一杯欲しい。」
「じゃあ俺のもあげます。まだ口付けてないんで安心してください。」
「おう。」
城崎の分も飲み干すと、少し頭が楽になった気がした。
自分で思ってた以上に酔いが回っていたようだ。
麗子ママからのサービスで出してくれた柚子シャーベットを口に含むと、冷たさに目が覚めた。
城崎の方を見ると、少し真面目な顔して酒の入ったグラスを俺の前に出した。
「先輩、これ。」
「なに?」
「ポートワインです。」
「……?」
「さっきみたいに、意味調べてから飲むかどうか決めてください。」
城崎に渡された赤ワイン。
渡してきた当の本人は思い詰めた顔してる。
意味を調べて、その表情の意味がわかった。
城崎からグラスを受け取り、グッと飲み干すと、城崎は口を開けて馬鹿みたいに俺を見つめていた。
「なんつー顔してんの。」
「先輩、ちゃんと意味調べました?」
「まぁ、俺経験ないし。何事も経験してみなきゃわかんないじゃん。」
「本当にいいんですか?」
「軽い気持ちで飲んでねーよ。」
城崎は俺の手を掴んで立ち上がった。
麗子ママにお金を渡し、「お釣りはいいや。」と店を出た。
あれ?今日は俺が奢るって話じゃなかったっけ?
ポートワインの意味は『愛の告白』。
そして相手がそれを飲めばOKのサインってことだ。
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