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第16話

ハァッ………ハッ…… 何…?何の音だ……? ハァッ………先パ……… これって……?夢? 「ハッ……ウァッ……望月先輩ッッ!!」 耳元で熱い吐息と俺の名を呼ぶ声に目が覚めた。 覚めたけど、振り向けない。 「先輩…、先輩……っ!」 城崎の荒い息遣いとギシギシと軋むスプリングの音。 オナってる。確実に。 めちゃくちゃ激しいじゃん。待って。 「好き…、先輩……、好きです……、抱きたい…っ!」 エロいって。無理。待って。本当に待って。 はぁっ…と一際熱い吐息を耳元に吹きかけられた瞬間、城崎が達したことを理解した。 城崎は息を整えながら背後から俺を抱きしめる。 俺が寝ていると思っているらしい。 城崎の手が徐々に下腹部に降りていくのがわかる。 やばい、やばい、やばい。 俺、今ので勃っちゃったんだけど…!! 「ん……」 「先輩…?」 城崎の手が俺の股間に到達する直前、俺は寝返りを打った。 あたかも寝返りだと思わせるように、自然に。 「先輩……。」 前から抱きしめられる形にはなったが、どうやら回避できたようだ。 勃ってんのバレたらやばかった。マジで。 安心したのか城崎はスーっと静かな寝息を立てて眠りについた。 俺は目の前に城崎の胸板があって緊張して眠れないんだが? てかなんなの。同じシャンプーの匂いがするし、体からも石鹸の匂いするし。カップルかよ。 彼女から自分と同じ匂いがしたら幸福感に満たされる。 男の後輩と同じ匂いだと、なんか気まずいな。 ん?気まずいって思うってことは、俺やっぱ城崎のこと好きではないってことか? 好きなら嬉しいもんな。こういう場合。 そう思ったら、なんか緊張が取れてその後すぐに眠りにつくことができた。

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