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第23話

「俺が連れて帰ります。」 「お、おう…。じゃあ任せた…。」 城崎が俺を請け負ったことで、周りはぞろぞろと荷物を持って解散し始めた。 というか、城崎のただならぬ雰囲気に逃げた。 あぁ…、涼真の家泊めてもらおうと思ったのに…。 「先輩」 「ん〜…?」 「ホテルでいいですよね。」 「………いいけど。」 有無を言わせない威圧感。 城崎の肩を借りながら居酒屋から出てホテル街へ向かう。 「城崎…」 「なんですか。」 「怖い…」 「誰のせいで。」 「俺なの…?」 「それ以外に誰がいるんですか。」 いつもと違ってわんこじゃない…。 ピシャリと会話を終えられて何だか悲しい。 「城崎…」 「なんですか。」 「ラブホ…?」 「ラブホだと先輩のことめちゃくちゃにしちゃいそうなので今日はビジホです。」 安心したような、何故か残念なような。 歩いているとどんどん酔いが回ってきて、ぐるぐる…。 あー、やば…。 「城崎…」 「なんですか。」 「吐きそう………」 「えっ…?」 待ったなしに俺はその場でマーライオンのようにゲロを吐き出した。 最悪。マジで最悪。 城崎、ごめん……。 周りから悲鳴が聞こえた。 これ、絶対怒られるやつだ……。 そう思ったのに、城崎は俺を座らせて背中をさすって優しく声をかけてきた。 「先輩、大丈夫ですか?俺、水買ってきますね。」 「何で怒らねぇの…?」 「そんなしんどかったの、気づけなくてすみません。」 「俺が悪りぃじゃん…。」 「先輩も悪いですけど、先輩がしんどいのに気づけなかった自分の方が今は腹立ってます。」 何こいつ…。 俺のこと甘やかしすぎじゃん…。 城崎の手が冷たくて、俺はスリスリと頬を当てる。 「そんな可愛いことしてたらマジで襲いますよ?……はぁ、待っててくださいね。」 城崎はそう言って自販機の方へ向かった。

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