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第39話

一通り見終わって外に出た頃にはもう夕方だった。 とは言ってもまだ全然明るい。 「これからどうする?」 「うーん……。映画とか見ますか?」 「今なんか面白いのやってたっけ?」 「いや、俺はそんなに興味あるやつなかった気がします。」 映画の上映スケジュールを見るが、俺の興味ある映画もなさそうだ。 だからって解散するにも早い。 「城崎の好きな映画のジャンルってなんなの?」 「俺は洋画よく見ますかね。ブイハザードとか…。」 「え!ブイハ、俺も好き!」 「そうなんですか?」 「あ!じゃあさ、俺の家で見ねぇ?Blu-rayボックス買ったんだよな。」 俺がそう言うと、城崎は「えっ」と動きを止めた。 なんか変なこと言った?俺。 「嫌?」 「嫌なわけないです…。でも、先輩の家お邪魔してもいいんですか…?」 「いいよ。あーでも何もないんだよな。最近外食多かったから冷蔵庫酒しか入ってないかも。」 「じゃあ俺が作ります。どっかで買い出ししてから行きましょうか。」 電車に乗って俺ん家の最寄り駅まで40分。 スーパーに寄って、俺はおつまみを、城崎は食材をカゴに入れ、精算する。 「何これ?何作ってくれんの?オシャレなもん入ってる。」 「サーモンとアボカドのクリームパスタです。」 「何それ!美味そう!そんなの作れんの?」 「自炊は大学の頃からしてますし、美味そうなのは麗子ママに作り方教わったので、ある程度は。」 「へぇ〜!俺料理は得意じゃねぇんだよな。久々に手作りの美味い飯にありつけそう〜!ラッキー!」 スキップしそうなくらいルンルンでマンションにたどり着く。 入り口とエレベーターと玄関の三段階ロックがあるマンション。 2階の奥に進んだ部屋が俺の4年ほど暮らしているマイルームだ。 1LDKで一人暮らしには広いくらいの良い部屋。 結構気に入ってる。 「お邪魔します。」 「おう。上がれ上がれ。飯は任せた。」 城崎を招き入れ、入り口の鍵を閉めた。 俺は完全に友達を呼ぶ感覚で城崎を家に入れてしまった。 これが城崎に期待させてしまう行為だということに、馬鹿な俺は気づかなかった。

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