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第38話
そのあと、イルカショーを見て、アイス食べて、水族館の続きを見て回った。
巨大水槽にはサメとかマンタとか泳いでてテンション上がったし、熱帯魚の展示室はオシャレすぎて沸いた。
途中何度か大学生くらいの女の子グループに声をかけられたりしたけど、城崎が丁寧に断っていた。
「本当、何回も言うけどモテるよな。」
「何回も言いますけど、俺は先輩一筋ですよ。」
「勿体ねぇ……、あ!城崎!触れ合いコーナーだって!」
城崎の手を引っ張って早足に向かう。
手を繋がれた城崎が照れてるなんて知らずに。
「ドクターフィッシュ!やってみたかったんだよなぁ。ほら、城崎も!」
「俺は遠慮しときます。」
「何で〜?」
「やってみたら分かります。」
ドクターフィッシュの足湯コーナーに着き、椅子に座って裸足になった。
そっと水の中に足をつけると、うじゃうじゃとドクターフィッシュが寄ってくる。
「うわっ!あひゃひゃ、ま、待って!!あははは!!まっ、待って!擽 ったい!あはは!!」
「先輩、ちょっと…」
「やっ…あはは!む、無理!」
足の裏や指の間までドクターフィッシュは俺の汚れを取ろうと必死だ。
普段触られないところを擽られ、こそばゆくて涙が出る。
「城崎ぃ…!無理!あっ…、もうっ!」
「先輩、こんな公衆の面前で可愛いことしないで。」
「な、なんて?あっ…ははは!も、ダメ!助けて!」
「足出せばいいだけでしょ?」
「そ、そっかぁ。あーこそばゆかった!」
城崎の袖を掴んで助けを求めると、城崎は俺の足を水槽から出した。
ハンカチで丁寧に俺の足を拭いてくれる。
「ん……、城崎、擽 ったい…」
「ドクターフィッシュよりマシでしょ。そのちょっと喘ぐのさっきからエロいんでやめてください。」
「だ?!誰が喘いで……」
「ん、とか、あ、とか。エロい声出てましたよ。本当シャレになんないです。」
靴まで履かせてもらって、城崎の手を借りて立ち上がる。
たしかに周りの女の方々、なんなら子どもまでこっちを見てる。
視線が痛い……。
一人の女の子がちょんちょん、と俺の裾を引っ張った。
「おにーさん、女の子なの?」
「えっ?!」
「さっき女の子みたいな声出してた!」
「す、すみません!こら!」
「ブハッ…!」
女の子に首を傾げてそう聞かれ、それを見たその子のお母さんが注意して俺に頭を下げながら去っていった。
唖然 としている中、城崎はそんな俺を見て吹き出してゲラゲラ笑っていた。
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