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第37話

「か、かわいい〜〜〜!!!」 目の前にはデカいのから小さいのまでいろんなペンギンがカーペットに沿って歩いている。 実はペンギンとか犬とか猫とか、所謂(いわゆる)可愛い癒し系の動物に目がないのだ。 ペンギンは臭いけどめちゃくちゃ可愛い!! スマホでカメラを起動して、ペンギンを追いかけながら写真を撮る。 「な、なぁ、城崎!やべぇ!可愛い!!」 「も……、先輩……、可愛すぎます……」 「だよなぁ!……っておい、なに俺にカメラ向けてんだよ?」 「先輩、好き。本当可愛い。無理。」 城崎の方を振り返ると、あいつは片手で口元を抑えながら俺にカメラを向けていた。 しかも取り上げたら動画だった。 同意してくれたと思ったら違うのかよ。 いいもんね。俺はペンギンをカメラに……。 「触れ合いタイムを開催しま〜す!お気に入りのペンギンちゃんと一緒に写真撮りませんか〜?」 「!!!」 スタッフのお姉さんのアナウンスに耳が反応する。 公式のお触りタイム!!ペンギン!触りたい!! 「城崎っ!」 「はいはい(笑)どの子がいいんですか?」 「あれ!あのピンクの腕輪つけてる子!」 よくアニメ映画化されてる種類!なんだっけ!? 「コウテイペンギンですね。」 「そう、それ!コウテイペンギンの赤ちゃん!」 「お姉さん、すみません。写真いいですか?」 城崎に声をかけられたスタッフのお姉さんは頬を桃色に染めて、城崎のスマホを預かった。 ピンクの腕輪を付けた推しのペンギンの隣に座り、城崎も俺の隣にしゃがみ込んだ。 「はーい、撮りますね〜!3.2.1…」 写真を数枚撮ってもらい、画像を確認した。 お姉さん大人だからすぐに正気取り戻して仕事モードになったけど、城崎のあれ、女子大生とかだったらナンパと勘違いしそうな声の掛け方だったな。 「おまえ声の掛け方気をつけろよ?」 「通じるでしょ、普通。それよりこれでいいですか?」 「おぉ〜!可愛い!ペンギン本当可愛い!ありがとう、城崎!」 俺とペンギンのツーショットも撮ってもらい、最後にペンギンを少し撫でさせてもらって大満足でペンギンコーナーを後にした。

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