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第36話

チケット売り場で二人分チケットを購入して、一枚を城崎に渡す。 「先輩、いいのに。俺出しますよ?」 「いいって、これくらい。」 「じゃあランチは俺が出しますね。」 「いつもおまえばっか払ってんだろ。今日は全部俺が出す。」 「男前すぎ…。」 「どっちが。」 ここ最近の飯とかホテルとか、ほとんど城崎が出してるだろうに。 ずっと奢られてるのは上司としてのプライドが許さなかった。 あと恋人に奢られ続けるってのもな。 城崎を納得させて入場ゲートを潜り水族館内へ入ると、いきなりトンネル型の水槽でのお出迎えだった。 「すげぇ。」 「綺麗ですね。」 エイとか名前は知らん魚が俺たちの周りをスイスイ泳ぐ。 いいな。なんか水族館って癒される。 空調も整備されてて居心地良いし。 「ハリセンボン、どれですか?」 「ん?これだろ。」 「ほんとだ。針付いてる…。」 「水族館のハリセンボンなんて滅多にイラストみたいに膨らまねぇからな。」 一度くらいまん丸に膨らんだハリセンボンを見てみたいものだ。 子供の頃、膨らんだハリセンボンが見たくてずーっと見つめてたけど一回も膨らんだことなかったし。 「先輩、これは?」 「知らねーよ。こいつじゃね?」 「あ、ほんとだ。」 水槽の縁に書かれた魚の名前と写真を照らし合わせながら、城崎と一緒に水槽をゆっくり見て回る。 大の男二人で水族館?と思ったけど、意外と面白いものだ。 ふと時計を見るともう12時を回っており、カフェスペースで昼食を取ることにした。 子ども向けのランチプレートが多い中、俺はホットドッグを、城崎は魚のフライが挟まれたハンバーガーを頼んだ。 「おまえよく水族館で魚食えるな。」 「売ってる方が悪いでしょ。」 「あいつらの仲間がフライにされてんだぞ?」 「先輩は動物にも優しいんですね。」 なんの躊躇いもなく完食した城崎をある意味尊敬した。 「先輩、向こうで13時からペンギンのお散歩タイムあるらしいですよ。行きませんか?」 「おう。」 城崎に誘われるまま、俺たち二人はペンギンコーナーへと足を運んだ。

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