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第41話

何分か、はたまた何十分か、俺たちはキスに夢中になっていた。 気づいた頃にはもう完全に珈琲は冷めていた。 「ぬる…」 「氷入れてアイスコーヒーにした方が良さそうですね。」 「だな。」 グラスに移し替えて氷を入れる。 アイスにしたら幾分か美味かった。 「キッチン借りてもいいですか?夜ご飯作りますね。」 「頼む。俺はブイハ見る準備しとくな。」 「はい、お願いします。」 城崎はキッチンへ、俺はテレビの前へ向かう。 とは言ってもレコーダーの準備なんて(ほとん)どすることがなくて、手持ち無沙汰な俺はキッチンへ向かった。 「なんか手伝うことある?」 「ないです。」 「嘘だぁ。」 「じゃあ大きめの鍋にお湯沸かしてくれますか?」 「了解。」 一人暮らしを始めるときに母さんから送られてきた一際デカい鍋。 一人暮らしなのにこのサイズ使わねぇだろと思ってたけど、二人分のパスタ茹でるときには役に立つな。 城崎は慣れた手付きで切ったり煮たりしてクリームソースを作り上げる。 「味見しますか?」 城崎が人差し指にクリームソースを掬って俺の口の前に持ってくる。 一瞬躊躇(ためら)ったが、垂れそうなクリームソースを掬うように俺は城崎の指を口に含んだ。 「うまっ!!」 「よかった。」 城崎は俺の口から指を抜き取り、その指を自分で舐めた。 なんかめちゃくちゃエロい。 「もう出来ますから、インスタントのスープも買ってきたんで準備お願いしていいですか?」 「オッケー。」 俺はさっき買い出ししたスーパーの袋からインスタントのポタージュスープを取り出し、マグカップにそれを作った。 数分後には食卓にオシャレな飯が並んでいた。 サラダもあるし、アボカドを生ハムで巻いてるのもあるし、なんか取り敢えずオシャレだ。 もちろん味も最高に美味かった。 「城崎、俺の嫁になる…?」 「是非。」 ついそんなことを口走ってしまうくらい、俺の胃袋は完全に城崎に掴まれてしまった。

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