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第42話
食べ終わった後、城崎が食器洗いまでしてくれた。
代わりと言っては何だが、俺は風呂を洗って湯を張った。
「何で風呂ですか?」
「え?泊まんないの?」
「逆に泊まっていいんですか?」
当たり前に泊まるもんだと思い込み、部屋着まで準備していた。
というか、もう20時だし、今からブイハとか見出したら普通に終電なくなると思う。
ブイハとかグロいし、そういう雰囲気にならないだろう。
「オールでブイハ観るぞ。」
「わお。元気ですね…。」
「風呂入っていつでも寝れる準備してからみようと思ってるから、別にいつでも寝ていいし。あ、でも酒とおつまみあるからちゃんと寝る前に歯は磨けよ?」
二人とも風呂に入るまでの繋ぎとしてゲーム機をつける。
有料動画サイトを繋ぎ、最近ハマってるアニメを再生した。
「城崎、先入るよな?着替えここ置いてるから。今着てるやつは適当に洗濯機突っ込んどいて。乾燥までかけとくから。」
「は、はい…。」
「シャンプーとか俺が使ってるのでいいよな?まぁ高いのじゃないけど安くもねーし。あとは…」
城崎に事細かく説明していると、後ろからギュッと抱きしめられる。
「な、何?」
「幸せだなぁと思って…。」
「そ、そんな甘えても一緒には入んないからな。うち、狭いし。」
「はい。一人で入ります。」
「それでよし。」
心臓がドキドキと高鳴っているのがバレないように、俺は回された城崎の腕を外した。
ちょうどよく風呂が沸け、城崎を脱衣所に押し込んだ。
20分ほどで城崎が上がってきて、ソファに座る俺の隣に腰掛けて肩を抱く。
「これ、先輩の服?」
「うん。あ、でもちゃんと洗ってるから!」
「ふふ…、うん。嬉しいです。」
「小さいとか嫌味言うなよ?わざわざ大きめのやつ探したんだから。」
「丁度いいですよ。先輩、お湯冷めないうちにどうぞ。」
城崎に促され、俺も風呂に入る。
さっき城崎の髪や服から、俺と同じ香りがした。
前はどうとも思わなかったのに、好きと自覚したからか幸福感に満たされている。
俺、こんな幸せでいいのかな?
今日一日の出来事を思い出して幸せに浸っていると、いつのまにか長湯してしまっていた。
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