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第43話
「先輩、大丈夫ですか?」
「ん〜。気持ちいい……」
「そんな無防備だと襲っちゃいますよ?」
風呂から逆上 せて出てきた俺を、城崎はソファに寝かせて団扇 で扇いでくれていた。
城崎の膝枕は硬いけどなんか心地良くて、つい夢の世界へ旅立ちそうになる。
「ブイハ付けて〜」
「頭に入ります?」
「もうストーリー頭に入ってるから流してたらいいの。」
城崎がリモコンの再生ボタンを押すと、ブイハシーズンⅠが始まった。
何度もうたた寝していると、いつの間にかもう中盤。
城崎は文句も言わず膝枕を続けながら、俺の髪を梳 いていた。
「ごめん…、寝てたぁ…。」
「可愛かったです、先輩の寝顔。」
「うるせぇバァカ。酒…とってくる……」
「転 けないでくださいね。」
可愛げもなく悪態をつく俺。
俺だったら絶対こんな恋人嫌なのに、城崎は缶ビールを持って戻ってきた俺を脚の間に座らせて可愛がる。
買ってきたおつまみを食べながらビールを煽ると、程よく酔いが回って気持ちいい。
「風呂上がりのビール美味ぇなあ。」
「一本だけにしてくださいよ。」
「なんでぇ。家だしいいじゃん。」
「これ以上無防備な態度取られたら、俺の我慢がもたないんです。」
「ふーん。」
ぼやぼやした頭で適当に返事する。
俺が寝落ちたら城崎はきっとベッドまで運んでくれるし。
てか俺、この数日間だけで城崎に頼りすぎというか甘えすぎというか。
「先輩ってヒモ体質ですか?」
「そうかもなぁ。」
「俺先輩養うためならもっと頑張りますよ?」
「これ以上甘やかしたらダメだぁ…。俺、もう今年30のおっさんなんだってぇ…。」
「中年太りしないように俺がしっかり管理しないとですね。あと、もっと俺好みにエロくなってもらわないと。」
「エロくならなかったらどうするぅ…?」
「それはそれで愛し尽くしますよ、俺が。」
ちゅっちゅ…と首や髪にキスが降ってくる。
あー、もう。まどろっこしいな。
「城崎、こっち。」
後ろに向き直って、対面座位の体勢で城崎の唇にキスをした。
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