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第44話

もう二人とも映画なんて見てない。 風呂に入って酒も回って、対面座位でディープキスなんて、セックス一直線コースだ。 ソファの背もたれに城崎を押し倒し、下半身でそそり勃つお互いのものを擦り合わせるように体を揺らす。 「先輩、本当エロい。」 「ん…んっ…ぁん……」 スウェットの下から冷たい城崎の手が、俺の陥没した乳首を起こしにきた。 高い声を出していると、城崎の舌が開いた口の中に簡単に入ってくる。 俺のちんこはガマン汁を溢れさせ、スウェットにまでシミができていた。 「さ、触って…!」 「はい。でも先に、ベッド行きませんか?」 「行く。連れてって…。」 「掴まっててくださいね。」 城崎に言われた通りに首に両腕を回す。 結構体格もしっかりしてて筋肉もあるからそこそこ体重もあるはずなのに、城崎は俺を抱き上げてベッドまで連れて行った。 背中には慣れたマットレスの感覚。 俺は城崎の首に手を回したまま、俺に覆い被さる城崎にキスを強請(ねだ)る。 城崎に執拗に弄られて起き上がった乳首は、もっと刺激しろと言わんばかりにツンと張って主張していた。 ベットへ来た目的はセックスするためだと思っていたのに、下への刺激が全然なくて、俺は不安で目を開けた。 「先輩、一つ聞きたいことが…」 「んっ……な、何…?」 「このクッション、先輩の趣味じゃないですよね?」 城崎はスウェットの上からやわやわと俺の股間を揉みながら俺に質問を投げかけてきた。 俺は快感を拾うのに必死で、ただ正直に答えていく。 「ぁ…そ、それ、千紗が買ったやつ…!俺の趣味じゃない…っよ?」 「ああそうですか。じゃあさっき使ったあのペアマグも?」 「んっ…千紗が使ってたやつ……」 城崎の手がピタリと止まった。 俺はハッとして城崎を見上げる。 案の定城崎の顔は穏やかではなかった。 「先輩、もしかして俺をわざと挑発してます?」 「し、してない…!」 「千紗千紗千紗千紗って。未練タラタラですか?」 「ち、千紗と別れたの三年前だぞ?引きずってるわけないだろ?!」 「じゃあなんでこんなに伊藤さんのがあるんですか?」 「同棲してたんだからあってもおかしくないだろ。わざわざ分別して捨てるのも面倒だし。」 「じゃあ俺が捨てます。いいですよね?」 城崎は今か今かと快感を待ち侘びている俺をベッドに置き去りにし、リビングへ行ってしまった。

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