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第45話

城崎はビニール袋を数枚用意し、クッションや小物、さっき使ったマグカップなど、分別してポイポイとビニールに入れていく。 よく千紗のって分かるな…。 まぁでも千紗は結構女の子って感じの物が好きだったから分かりやすいかもしれない。 分別に夢中で俺に背を向け全くこちらに見向きもしない城崎を後ろから抱きしめる。 「こっち見ろよ……。」 「なんですか?今片付けしてるの、分かりますよね?」 「ちゃんと捨てる。千紗のは全部捨てるから。だから今は俺の方見て……。」 「はぁ……。」 「城崎……?」 ため息をつかれて呆れられたかと思ったら、城崎は俺の腕を外して前から力強く抱きしめなおした。 呆れたわけじゃないんだ。 城崎の腕の中に収まり、ホッとして体重を預ける。 「約束ですよ?絶対明日片付けましょうね。」 「うん。」 「髪の毛一本許しませんからね。」 「それは自信ない…。掃除機はかけてるよ、一応。」 「俺、めちゃくちゃ嫉妬しますから。付き合ってない時ですら、先輩のこと独り占めしたくて堪らなかったのに。」 「俺のこと好きすぎだろ…。」 「世界一先輩のこと愛してますよ。俺も自分がこんな心狭いなんて、先輩に恋して初めて知りました。」 「俺も好き。」 「先輩、束縛してもいいですよね?もう先輩は俺のなんだから。」 「いいよ。できるだけ善処する。」 「本当好き。先輩、大好き。俺だけの先輩…。」 俺も城崎のこと抱きしめ返したら、城崎はまた甘い笑顔に戻って俺をベッドへと(いざな)った。 付き合って早々、喧嘩にならなくてよかったと思う。 俺だって怒ってる城崎より、笑ってる城崎のほうが好き。 年上の俺が多少のわがままくらい聞いてあげないと。 「城崎、チュー。」 「本当、キス好きですね。」 「城崎の、気持ちいもん。」 「俺だけしかダメですよ?」 チュッチュッ…と唇が触れるだけのキスを何度も交わす。 幸福度指数高すぎて息が止まりそうだ。 というか、死ぬときはこれくらい幸せ感じたまま死にたいとさえ思う。 今日一日外出して、お酒も入って、触れ合って、喧嘩もしたけどちゃんと仲直りして。 思い残すこともないなと目を閉じる。 この夜はシングルベッドに男二人、寄り添いながら心穏やかに眠りについた。

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