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第68話

土曜日はそのまま家で、城崎とゆっくり過ごした。 昼前に起きて、昼は城崎の作るおしゃれ料理を食って、その後一緒にテレビゲームしたり、珈琲飲んだり…。 そんなことしてたら一日ってすぐ終わってしまうものだ。 城崎の言葉に甘え、夕食を作ってもらってる間、俺はソファでスマホを触っていた。 金曜の居酒屋での一件後、涼真と千紗からは何の音沙汰もない。 まぁ周りに広めるような奴らでもないし心配はしていないが、やはり自分からちゃんと説明し直すべきなのかと悩む。 一言くらい何か…と思い、涼真とのメッセージ履歴を開くと、タイミング良く涼真からメッセージが送られてきた。 「城崎〜。」 「なんですか?」 「明日、涼真とちゃんと話すわ。おまえとのこと。」 「……わかりました。」 涼真から送られてきた内容はシンプルだった。 『二人で話がしたい。』と、ただそれだけ。 城崎にはあんなこと言ったけど、内心は涼真や千紗に引かれてたらどうしようとか、気持ち悪いと思われてたらショックだなとか、そんなこと思ってびくびくしてる。 あいつらがそんな奴じゃないって思ってても、俺だって城崎のこと好きになる前だったら、親友や元恋人が同性愛者だとか知ったら絶対びっくりするし。 スマホを持って固まっていると、城崎が後ろから俺を抱きしめた。 「先輩、きっと大丈夫ですよ。」 「城崎……」 「あの時、俺もどうしようって焦ってましたけど、よくよく考えたら先輩が認めた人たちなんですから。悪い人な訳ないです。」 「そ…だよな……。」 「心配なら俺が付いててあげましょうか?」 「大丈夫。」 そうだよな。 俺があいつらのこと信じなくてどうするんだ。 あいつらなら必ずわかってくれる。 振り返って城崎と目を合わせた。 「城崎、ありがとう。」 「どういたしまして。先輩だって、あの日俺のこと安心させてくれてありがとうございました。」 「あんときあんなこと言っといて、このザマじゃ格好つかねぇな。」 「そんなことないです。誰だって不安になりますよ。」 城崎は俺に優しいキスをした。 「何があっても、俺だけは先輩の味方ですからね。」 ほんと、敵わないな…。 年上の俺なんかよりずっと肝が据わってる。 大好きな人が自分の味方だって言ってくれるのがこんなにも心強いなんて。 城崎だってきっと、今までに後ろ指を指されたことの一つや二つ、あったんだろう。 これからは俺が支えてやるんだ。城崎のこと。 「俺も。一生城崎の味方する。」 「ふふ。言いましたね?」 「何だよ…」 「死ぬまで離しません♡」 「勝手にしろ…。」 俺を抱きしめる城崎の背中に、俺も手を回した。

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