70 / 1069
第70話
「確認したいんだけど」
「なに?」
「体目当てとかじゃねぇよな?」
「はぁ?」
「綾人の心配だよ。親友なんだから、遊ばれてないかって心配するに決まってんじゃん。城崎、モテんだろ。誰でも良くて綾人に手出した訳じゃねぇよな?」
そういうことか。
俺だって思ってた。
何で俺?って。
でも、あいつは言葉で、体で、全部使って俺のこと本気だって伝えてくれたから。
「大丈夫。あいつめちゃくちゃ俺のこと好きだから。」
「ぷっ…あはは!そっか!じゃあいいや!」
涼真は真剣だった顔を緩め、いつもみたいに笑った。
涼真の中で引っかかってたのは、俺が男と付き合っているということじゃなくて、俺が遊ばれてないかどうかの心配。
いい奴すぎんだろ…。
「見ろよ、涼真。千紗と同棲してた時の、全部捨てられた。」
「あははは!だからこんなに物少ねーの?やば(笑)」
「メッセージアプリの友達も200人消された。」
「ぶはっ!独占欲強すぎんだろ、城崎!あははっ!おもしれ〜」
「ちなみにおまえも嫉妬されてたぞ。」
「え、俺?!俺と綾人はどこからどう見ても健全な関係じゃん!」
「俺もそう言ったよ。」
「綾人大好きマンじゃん。」
本当にいつも通りだ。
俺が誰にも言えなかった城崎との出来事。
一番の親友に聞いてもらえて嬉しい。
涼真が親友で、本当に良かった。
涼真は笑いすぎて目尻に溜まった涙を指で拭う。
「あ〜、笑った。これ千紗ちゃんに言ったら絶対ウケる。」
「千紗、なんか言ってた?」
「あー、千紗ちゃんな、………ぷくくっ!」
「え、何?」
「なんかな、『え、ヤバくない?ヤバくない?』って鼻息荒くしてたよ。ありゃあ興奮してたね。絶対引いてる反応じゃねぇもん(笑)」
「え??」
どういうこと?
千紗も俺のこと引いてないのか?
「今電話かけてみろよ。」
「千紗の番号、城崎に消された。」
「ぶはははは!!!もう腹いてぇ……っ」
涼真は腹を抱えて机をバンバン叩きながら笑った。
ヒィヒィ言って涙流しながら笑ってる姿を見てると、こっちまで笑いそうになる。
「俺がかけてやろっか?」
「番号知ってんの?」
「この前交換した!」
涼真は涙を拭いながらスマホで千紗に発信した。
ともだちにシェアしよう!