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第161話

7月22日0時00分00秒 俺は送信ボタンを押して満足気に眠りについた。 城崎に『誕生日おめでとう。』その一言を一番に伝えるために。 朝起きて伸びをする。 髭を剃って、朝から浴室へ向かった。 理由は朝シャンのためと、もう一つ。 シャワ浣するためだ。 「うぅ…。やっぱ気持ち悪い。」 4回ほどしたら、もう出るもんなくなって綺麗になった。 今日は絶対するって分かってるし、綺麗な身体で(のぞ)みたいものだ。 百貨店で買った勝負下着を履いて、お家デートだから多少ラフな感じの服を着て、あとはプレゼントに買った時計を持って…。 「よし。もう忘れ物ないよな?」 家を出て鍵を閉める。 城崎に今から向かうことを連絡し、行きしなに数種類のケーキと城崎の生まれ年のワインを購入し、最後に花屋に寄った。 「どんな花をお探しですか?」 花を見て悩んでいると若い女性店員が声をかけてくれる。 「あー、えっと、今日誕生日の恋人に花束あげたくて…。何かオススメありますか?」 「今日がお誕生日なんですね!では、ナデシコなんてどうですか?」 「ナデシコ…?」 聞いたことはあるけどいまいちピンとこなくて首を傾げる。 店員さんはナデシコを持ってきて見せてくれた。 「7月22日の誕生花なんです。薔薇(ばら)なんかと一緒に花束にすると綺麗ですよ。」 「じゃあそれでお願いします。」 花束を作ってもらい、お金を払って店を出る。 うん、綺麗。 それにいい香りだ。 城崎のマンションに着いて、部屋の前でインターホンを押す。 「先輩、いらっしゃい。……って、何ですか。その荷物。」 「お、おはよ。誕生日おめでとう、城崎。」 両手に荷物を抱えてよろよろする俺から、城崎はいくつか荷物を持ってくれた。 冷房が効いてて涼しい。 俺が来ることが事前にわかっていたからか、前に来た時より小綺麗にされた城崎の家。 というか、よくよく考えると城崎の家に上がるのは2回目だし、1回目は熱でバタバタしててカウントしていいのかすら微妙だ。 俺の部屋より狭い、20代前半一人暮らしの家って感じ。 だけどオシャレな家具の配置のおかげか、あまり狭くは感じない。 全体的にモノクロでまとめられていて、スタイリッシュな雰囲気だ。 「先輩、花束嬉しいです。これ、何の花ですか?」 「ナデシコだって。誕生花らしいよ。」 「へぇ。………あ、花言葉は『純愛』ですって。先輩と俺にぴったりですね。気に入りました。」 城崎はスマホで調べて嬉しそうに笑い、花瓶に()けるため部屋から出て行った。 花束喜んでくれてよかった…。 どこに腰掛けていいものか悩み、めちゃくちゃ主張の強いセミダブルベッドに腰掛ける。 こんなとこ座ってたら期待してるみたいか? 床に座る? 悩んでたら城崎が戻ってきた。

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