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第186話

暑い中デスクワークや外回りでこなしてきた毎日。 やっと俺たちに夏季休暇が訪れた。 「海だ〜〜っ!!!!」 「先輩、待って!」 レンタカーを借り、城崎の運転で約2時間。 俺たちは今熱海にいる。 目の前には視界いっぱいに海が広がり、キラキラと太陽の光が反射する。 「ビーチなんて何年ぶりだろ?やっぱ海ってテンション上がるなぁ!」 「先輩、はしゃいでて可愛いんですけど待って!」 「わっ…!」 靴からビーサンに履き替え、下はズボンを脱いで水着になる。 ビーチの方へ行こうとすると、城崎にTシャツを被せられた。 「先輩、ちゃんと隠してて。」 「悪い…」 危なかった。 陥没乳首を隠すため、海やプールに行く時は必ず上もTシャツや羽織で隠しているのに、テンションが上がってそのまま行くところだった。 冷静になって一旦落ち着きを取り戻す。 城崎はトランクからパラソルやレジャーシートを取り出して担ぎ、車の鍵を閉めた。 「俺も持つよ。」 「いや、いいです。力仕事は俺の担当。」 「俺も男だけど?」 「じゃあ先輩は何か買ってきてくれますか?小腹()きません?」 「()いた。行ってくる。」 「お願いします。」 城崎はそのままビーチの方へ、俺は海の家の方へ分かれて進んだ。 スマホもあるし場所は何とかわかると思う。 にしても、すげぇ人多いな……。 「あっ!かっこいいお兄さん発見〜♡」 夏のせいにして、女の子も逆ナンとかしてんだなぁ…。 最近は肉食系女子が増えてきたのか? 城崎といると逆ナン多すぎて感覚狂うんだよな、本当。 「ねーぇ、お兄さん?」 「えっ、俺?!」 「うん♡一緒に遊ぼーよ♡」 20代前半くらいの若い女の子が二人、俺に話しかけてきた。 一人は金髪ロングのギャルっぽい子、もう一人は黒髪でウェーブのかかったショートヘアの大人しい感じの子。 城崎がいないから逆ナンなんてされるわけないと油断してた。 恐るべし、夏のビーチ。 「ごめんね。連れがいるから…。」 「彼女〜?」 「んー、まぁそんな感じ。」 「とか言ってぇ!一緒にいないってことは友達でしょ!ねーぇ、遊ぼ〜!お兄さん、かっこいいし♡」 「わっ…」 金髪ギャルは俺の腕にギュッとしがみついた。 若くてハリのあるたわわに実った胸が(じか)に押し付けられ、流石の俺もたじろぐ。 だって、女性の胸に触れるなんていつぶりだ? 千紗と別れてからご無沙汰だし、こんな露出した女の子に会う機会なんて海やプールくらいしかない。 だからといってか弱い女の子を突き飛ばすわけにもいかず、俺は左腕をないものと思い接した。

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