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第1057話

翌日、外は朝から大雨が降っていた。 気圧の影響か、なんだか頭がぼーっとする。 「綾人さん、おはよ♡」 「おはよ……。」 「眉間に皺寄ってる。頭痛い?」 「んー…。偏頭痛かな…?たまに天気悪い時痛むんだよ。」 「そっか。俺がハグして治してあげます♡」 大翔はもうベッドにはいなくて、二人きりなのをいいことに、夏月はぎゅっと俺を抱きしめた。 「ん〜今日も可愛い…、って、なんか熱ありません?」 「へ…?」 夏月は俺を抱きしめた瞬間、怪訝な顔をして俺の額に手のひらを当ててそう言った。 自分ではあまり分からないが、いつも俺に触れている夏月がそう言うならきっとそうなんだろう。 手を伸ばしてサイドテーブルから体温計を取り、脇に挟む。 ピピっと音が鳴って、確認すると38度を超えていた。 「38.2度…。」 「えっ?!大丈夫?!今すぐ寝て!」 「へ…?」 夏月はベッドから飛び起きて、俺に毛布を掛けたりとテキパキ動き始めた。 頭痛の原因は気圧じゃなくて熱のせいだったらしい。 夏月の温もりがなくなって、人肌が恋しくなる。 手を伸ばして夏月の裾を掴むと、すぐに気づいてしゃがんで、俺の頭を撫でながら尋ねた。 「寒くない?食欲は?」 「寒くはない…。ちょっと暑い…かも…。お腹は少し空いてる…。」 「わかりました。お粥と薬と、あと氷枕持ってくるから。寝てていいよ。また起こします。」 「うん…。」 パタン……と扉が閉められ、一人きりになってしまう。 そっか…。俺、熱あるんだ…。 夏月とえっち…したかったな……。 いっぱいキスして、耳が溶けてしまいそうなくらい甘い言葉を浴びせられながら、奥いっぱいまで満たされて…。 そんな今日を想像して、期待でなかなか寝付けなかったのに。 まさか熱を出してしまうなんて。 「綾人さん、お粥作ってきたよ。」 「うん…。」 「何か他に欲しいものありますか?ヨーグルトとかゼリーとか、買ってきましょうか?」 「ううん…。ここにいて。」 お盆を置いて出て行こうとする夏月を引き止める。 夏月は困ったように眉を下げて、ベッドに腰掛けた。 「食べない?」 「食べさせて…。」 「……ふっ(笑)今日は甘えん坊さんだ?おいで。」 笑って両手を広げてくれたから、俺は夏月の脚の上に向かい合うように座った。 すぐ目の前に夏月の唇があって、思わずキスしそうになるのを理性で止める。 風邪移しちゃダメだもんな…。 「こんな近かったら食べさせにくいんですけど…。あ、もしかして口移しがいいの?」 「えっ、違っ…!そんなつもりじゃ…!」 「ふふっ。分かってますって。でもこんな近くにいたらキスしちゃうよ?いいの?」 「したい…けど、ダメ…。」 「なんで?」 「夏月に風邪移しちまうから……、んっ、んんっ」 顔を逸らそうとすると、夏月に頬を両手で固定されて、唇が重なった。 夏月の手、冷たくて気持ちいい。 俺が熱いのか。 「んっ、ぁ、なつ…きっ…」 「綾人さんの舌、すっげー熱くてエロい。」 「んんっ…♡はっ、ぁ…」 「風邪くらい移していいよ。こんな可愛い綾人さんを我慢する方がツラいし、俺。」 ヤバい…。 一度触れてしまえば理性なんて吹き飛んで、ダメだと分かってるのに夏月を求めるように体が揺れる。 太腿に押し付けている硬い存在に、夏月はすぐに気がついて視線を向けた。

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