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26話 夜の獣

 「――あッ…あん、んんぅ…」    夜もふけた鞍馬寺の本堂の裏。鬱蒼とした林に囲まれた堂の裏で、"沙那王"は今宵も男の身体を貪る。上には息を乱した男。沙那王の肌を舐め尽くし、白い脚の間に腰を突き入れ、激しい快感に歯を食いしばっている。  近頃の"沙那王"は鞍馬の僧以外にも抱かれる。今夜の相手は、荒くれ者風情の大柄な男で、"沙那王"を押し倒すやすぐさま衣を剥ぎ取り、愛撫もそこそこに性急に自身の物を挿入して来た。 「ふふ…もう、爆ぜそうッ…なんじゃない? あッ、んぅ…中、大きくッ…ああッ…!」  快感を燻るように、いやらしく喘いでみせると、一段と肌がぶつかり合う音が大きく鳴り響く。 「へへッ、鞍馬寺に女と見紛う程のべっぴんの稚児が居るって聞いてよお。何でもの具合が遊び女並だなんて噂だったが、たまげたねえ。女以上だなこりゃあッ!」 「…あッ、あう…ン、ふふ…ねえ、こんな身体…もっと抱きたくはない?」 「ああ? 何だ、もっとやらせてくれんのか?こんな具合の良い身体なら、何人でも抱きたいねえ!」  白く細い喉を、男の分厚い舌で舐め上げられながら、"沙那王"は、目を細めた。赤い唇を弓のようにしならせ、名も知らぬ目の前の男の背を掻き抱いて果てた。  

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