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82話

「そうだ、ビアンカがアダルトはジュブナイルに触れちゃいけないって言ってたけど、ゼノスが俺に触れるのは大丈夫なの?」 「はい、私もジュブナイルですし。なにより世話役が触れてはいけないとなると何もできませんから、その辺はある程度許容されています」  そう言ってからゼノスは続けた。 「でも蔵之介様もアダルトになったとのことで、ビアンカ王に伺っております。おめでとうございます!今夜、宴を開くとビアンカ王がおっしゃておりました。おつかれでしたら、それまでゆっくりお休みください。」 「宴?」  精通したからアダルトになったという事だろうか?精通をそんな大々的に祝われるというのは何とも恥かしい。 「宴は、城の中のモノだけで行われます。しかし、蔵之介様がアダルトになったことは市民にも喜ばしいことなので公開されます。今後は蔵之介様と交接したいという者が毎日のように訪れます」 「毎日……?」 「はい、もちろん全てに対応はできません。王の基準で選別し、蔵之介様のお体に負担にならない人数を受け入れることになりますので、実際に交接できるのはごくわずかです」  交接。つまりは昨晩ビアンカとした様なことを、顔も知らない誰かとすることになる。それを考えると、目の前の食事がのどをとおらなくなりそうだった。 「昨晩の……ビアンカとの、交接は妊娠するの?」  蔵之介は恐る恐るゼノスに聞く。ゼノスは首を傾げた。 「ビアンカ王は昨晩交接はしていないと仰っていましたよ」 「え?」  あれは交接ではない?  交接は交尾のこと。しかし蜘蛛の交接は、精子を渡すに過ぎない。しかし蔵之介は受け取ったわけではない。保持もたぶんできないし、流れ出る。それをビアンカは交接ではないと言ったのだろうか?だとすると昨日の夜にした行為はいったい……?卵を生みつけるとも言っていたが、その様子も無かったように思える。  蔵之介は急に体のことが心配になった。昨日体内に糸を張られた。それにせいしも出された。あれはどうなったのだろう?不安がよぎりベッドから降りた。 「どうかされましたか?」 「ちょっ、ちょっとシャワーあびてくる」 「お体を洗うようでしたらお手伝いいたします」  ゼノスがついてこようとするが蔵之介は両手で止めるように示した。 「あ、あの、必要だったら呼ぶから。今日はちょっと汗を流すだけだから外で待ってて」  蔵之介に言われ困ったように眉を寄せるが、ゼノスは蔵之介の強い指示に逆らうこともできなかった。 「分かりました」

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