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☆一章八話

 シーツにくるまれた蔵之介は、ビアンカの部屋に運ばれた。  そのまま風呂場へ連れていかれ、シーツを剥がされ、破れた服も脱がされた。  蔵之介は何もできず、ビアンカにされるがまま触られていた。ビアンカなら抵抗する必要もない。 「どこか痛みは無いか?」 「わかんない」  蔵之介の答えにビアンカは蔵之介の頭から、首、体、腕から手の先、太ももから足の先まで優しく触れ確認していった。 その後、蔵之介の真ん中で垂れる物にも触れる。 「んっ」っと蔵之介が声を漏らすが、ビアンカは確認するように下のまるみも手で優しく触れ揉んだ。  蔵之介はビアンカの腕を掴むが、抵抗するためではなくただ触れられる感覚に抵抗があり、それに耐えるためだ。ビアンカの肩に顔を寄せ体を震わせる。  ビアンカは心音から蔵之介が痛みに耐えている分けでは無いことを確認し、その奥へと手を動かした。  すると蔵之介はビクリと体を跳ねさせ、腰を少し浮かせた。 「んっ、やだ」  蔵之介は嫌と言いながらもビアンカの体に身を寄せ抱きついた。  指は割れ目を何度かなぞり、萎みを何度か指でつつくと、そこはヒクヒクと震えた。口はしっかり閉じている。中を探られた様子はない。ビアンカは安心して、そこから手を放し、蔵之介を抱きしめた。 「中は探られなったようだな。何か心配なことは無いか?」 「うん……」  蔵之介はためらいがちに頷いた。そして、抱きしめるのをためらう様に手が揺らいでいた。 「蔵之介、大丈夫だ。僕は君から離れない。安心して何でも言ってくれ」  蔵之介は下唇を噛み、おでこをビアンカの肩にすり寄せた。 「一緒にいて」  震える声でやっと絞り出した言葉に、ビアンカは頷き「分かった」と抱きしめた。  ビアンカに体を洗ってもらい、それが終わるとビアンカも身を清め始めた。  引き締まった体、しかしごつごつはしてない滑らかな肌。泡がその体を滑り、足へ流れていく。  足の付け根の間には人間と同じものがついている。自分の物とは違う、少し大きめで、他の肌と同じ色で綺麗な色だった。  蔵之介はそれを眺めていると、ビアンカはそれに気づき蔵之介の方へ体を向けた。 「そんなに僕の体が気になるのか?」  蔵之介はハッとして顔を上げるとビアンカはほほ笑み、蔵之介の顎に指を添え、キスをした。  唇を少しだけ離した。 「キスはされてないよな?」  ビアンカは少し怪訝そうに聞いた。 「うん、されてないよ……顔は糸で覆われてたし」  蔵之介はうつむき言った。 「そうか」  ビアンカはそれだけ言って、体についた泡を流した。  そして蔵之介を抱き上げ、風呂場を出た。  蔵之介をおろして、バスタオルを取り蔵之介の肩に包むようにかけた。ビアンカは部屋のドアを開けた。 「ゼノス、蔵之介を頼む」  そういうと、ゼノスは入ってきていつも通り体を拭いてくれた。 「お怪我はありませんか? どこか痛みや、違和感はありませんか?」  ゼノスは心配そうに蔵之介の体をいたわり、拭いていった。 「うん……、怖かったけど、ビアンカがすぐ来てくれたから」  その後ろでビアンカはバスローブをはおりピーに髪をタオルで拭て貰っていた。ピーは小声でビアンカに告げる。 「ビアンカ王、治癒糸が足りておりません」 「今は蔵之介から離れられない。他の者に頼んでくれ」 「傷が深くビアンカ王の糸でないと、傷跡や後遺症が残る者もいます」  ビアンカは頭を拭かれながら少し黙った。  こそこそではあっても蔵之介の耳には届いていた。蔵之介はビアンカ達へ顔を向ける。 「ビアンカ、行ってきて。俺は部屋で待ってるから」  蔵之介は手を広げゼノスに服を着せてもらいながら言った。  帯を結び終わると手を下げる。 「糸は出す。それだけでは駄目なのか?」 「ビアンカ王の顔を見たほうが皆安心されます。王が現れないのは警戒している証です。余裕をお見せください」  ピーに言われビアンカは悩んでいる様子だった。悩む理由は先ほど蔵之介が「一緒にいて」と言った事からだろうと蔵之介は察し、ビアンカの方を向いた。 「ビアンカ、それが終わってから一緒にいて。俺はさっき一緒にいて貰えて、 ビアンカが側にいてくれて安心できたから。皆にも安心ができるように顔を見せてあげて」  蔵之介の言葉にビアンカは頷き、淡くほほ笑んだ。 「分かった。すぐに戻る。ピー、髪を結んでくれ」 「はい」  ビアンカは部屋に向かって、着替えて身なりを整えるとすぐに出ていった。 「もう行っちゃった」  蔵之介が部屋を覗くと、ビアンカの姿は無かった。 「蔵之介様、髪を乾かしましょう」  蔵之介が椅子に座ると、ゼノスはドライヤーをつけた。  髪を乾かし蔵之介はビアンカの部屋のベッドに入り、座ってビアンカの帰りを待っていた。 「海は? ここには居ないみたいだけど」 「海さんは廊下に居ます。怪我を蔵之介様に見られたくないようです」 「怪我してるなら、部屋にいればいいのに」  蔵之介は膝を抱え、その腕を枕にして目を閉じた。 「眠いようでしたら寝ても構いませんよ」 「うーん、眠れそうには無いからもう少し待ってる」  先ほどはビアンカの顔を見て、キスをして、抱きしめられた。それで安心できたけど、少し離れただけなのにもう不安がよぎってしまう。  部屋で起こった事がフラッシュバックして両足をきつく閉める。 きゅっと布団を強くにぎり顔を伏せた。  ゼノスはそれに気づきベッドへ歩み寄る。 「蔵之介様、大丈夫ですか? お辛いですか?」  蔵之介は顔を上げ、ゼノスを見た。 「ゼノス、手を握っていい?」 「はい」  ゼノスが手を差し出すと、蔵之介は右手でその手を握った。 「遠いからベッドに座って」  ゼノスは言われた通り、ベッドに座った。そして蔵之介の手を両手で包むように反対の手も添える。 「ありがとう」  蔵之介は優しく言った。 「他にしてほしいことはありませんか?」 「大丈夫。少しこのままでいて欲しい」 「それは大丈夫です。気が済むまで私の手をお使いください」  ゼノスがそういって、にこりと笑った。  蔵之介は左手で膝を抱えた。 「僕は何もできなかった。怖くて、足がすくんで、動けなくて。抵抗もしたけど、全然意味なくて。両足を引っ張られたんだ。体が割けたかと思った……」  蔵之介はそこまで言うと再び顔を伏せた。 「辛かったですか?」  ゼノスは聞いた。 「うん、怖かった。体をばらばらにされるのかと思った」  蔵之介はぎゅっとゼノスの手を握った。  それだけ言うと、蔵之介は再び涙を流し泣き始めた。 「ビアンカが来てくれなかったら……俺は……」  ビアンカは一通り、けが人の処置を終えるとその場を後にした。 「ビアンカ様」  ピーは後を追う。 「大けがをしてるものは見た。もう限界だ、蔵之介の心音が乱れている」 「しかし、まだ怪我人がいます。蔵之介様にはゼノスがついています」 「今の蔵之介には僕が必要なんだ」 「蔵之介様が必要なのはビアンカ王、貴方の方です」  ビアンカはそういわれ振り返った。 「そうだ、僕が蔵之介の側にいないと僕の心音が乱れる。そんな状態でまともな治療はできない」  そういって再び歩き出す。 「落ち着いてください、蔵之介様の安全は守られております」 「蔵之介が襲われた時もそうだった。キーパーを十人は置いてた。外に九人居て、全員でも海の糸を破れなかった。この結果をどう見る!? これが安全なのか!?」  ビアンカは感情的に怒鳴り、ピーは黙った。ビアンカはそれを気にせず部屋へと急いだ。 「今回の例は特殊です。相手の力が強すぎました」 「いや、僕の計算ミスだ。十人のキーパーと海が居れば足止めくらいにはなる。蔵之介に触れる前には僕がたどり着けるはずだった。  部屋の中で待ち構えてるのも想定していた。しかしそれを海に伝えなかった。警戒するものだと思い込んでたからだ。海の考えの甘さまで想定していなかった」  ビアンカはすべてのミスを自分の物にしようとしている。こういう時はもう説得は無理だとピーは悟り、少し黙って後についていった。 「分かりました。でしたら治癒糸を部屋で出してください。お願いします。それが無ければ困る者も多いんです」  ビアンカは目だけでピーを見て、歩きながら手を上下に合わせる。それを離すと同時に、手の間に糸を引き、瞬時に大量の治癒糸を生成させた。そして立ち止まりピーにその糸を渡した。 「これで足りるか?」 「なんとかします」 「足りなかったら部屋でなら出す」  ピーが頭を下げ、ビアンカは部屋に再び向かおうとした。しかし、足を止め振り返る。 「ピー」  元の道を戻ろうとしていたピーは振り返ってビアンカの方を見た。ビアンカはピーに歩み寄る。 「今回の件、君は悪くない」  ピーは黙ってビアンカを見つめた。 「いいか、君は悪くない。そんな泣きそうな顔をするな、行けなくてすまない。皆の治療は任せる」  ビアンカは拳で軽くピーの胸元を打った。  そして部屋へと急いだ。  バードイートは鶏肉を持って現れた。それはピーがバードイートに鶏肉を頼んでいたからだ。しかし実際には約束をしたわけではない。バードイートが勝手に鶏肉を運べば蔵之介と交接できると解釈しただけ。だからと言ってピーに罪悪感がないわけではなかった。だからピーが必死になっているのをビアンカも察していた。  ピーは今自分がどんな顔をしているのか想像もできず、口元を抑えた。気付かないうちに涙が溢れていた。  ビアンカが自室のドアを開けると、蔵之介は顔を向けた。 「ビアンカ、もう終わったの?」 「ああ、終わった」  ビアンカはベッドに歩み寄るとゼノスは蔵之介から離れ、ベッドから降りた。 「ゼノス、助かった」 「はい」  ゼノスは嬉しそうにベッドを離れドアの前へ向かった。  ビアンカは上に羽織っていた衣を脱いで、薄手の襦袢姿になりベッドに入った。蔵之介の横に座るとそっと抱きしめる。 「待たせたな、寂しかったか?」 「少し」  蔵之介はビアンカの肩に頬を寄せよりかかる。こんなに素直になれる自分が不思議だった。寂しかったなんて以前なら言えなかった。  ビアンカの体は外の風に当たったせいか少し冷えている。 「寒くない?」  蔵之介が聞くとビアンカは首を横に振る。 「蔵之介があったかいから大丈夫だ」  ビアンカは蔵之介の頬をそっと撫でて、唇を重ねた。 そのまま蔵之介の体を倒し、何度も唇を啄む。蔵之介はビアンカの背に手を回し求めるように抱き寄せた。  ビアンカはそっと蔵之介の帯紐をほどいた。それに気づき蔵之介はびくりと体が跳ねる。 「び、ビアンカ?」 「嫌じゃなかったらじっとしてて」 「うん……」  蔵之介は恥かしそうに顔を赤くし、ビアンカの滑らかな手が腰を撫でるのを受け入れた。  胸から腰、さらに下へ滑り太ももへと手が体をくすぐる。  「んっ」と蔵之介は体を捩ると、ビアンカは手を内股へ回しそっとそこを撫で上げた。  蔵之介は恥ずかしさと敏感な内股を撫でられたことでぞくぞくと腰を震わせビアンカの袖をぎゅっと強く掴んだ。 「嫌な感じはしないか?」 「うん、平気」  嫌な感じどころか気持ちよくておかしくなりそうだった。 「なんか、変……」 「何がだ?」  蔵之介はお腹の辺りを手で探るとそこには蜘蛛の糸が張り巡らされている。確認すると、胸元にまでその糸は伸び、ビアンカがからだの一か所に触れるだけで全身撫でられているような感覚だった。 「糸が、全身に?」 「ああ、この方が全身に感覚が伝わるだろ?」  蔵之介が頷くと、ビアンカは襦袢の紐をほどき脱ぎ、全裸になった。蔵之介は思わず目をそらす。 「蔵之介、見て」  ビアンカに言われ、蔵之介はビアンカの体を見た。目をそらした理由がそこにある。ビアンカの真ん中で先ほど風呂場では垂れていたそれが立ち上がって赤くなっている。さらに先ほどの倍ほどの大きさがありそうだ。 「その、それ……」  蔵之介はビアンカの顔を見ると、体を重ねられた。 「怖い?」  ビアンカの声が耳元で聞こえる、頬がふれあい、重なるビアンカの体は先ほどとちがい熱くなっていた。  怖くはない、怖くは無いけど 「緊張する」  蔵之介はそう小さく言うと、ビアンカは顔を離した。 「蔵之介はずっとそうだな。ここに来た時から、僕と話すときは緊張していた。なぜだ?」 「そ、それは」  特別だから。これはゼノスにも話したことだけど、本人に面と向かって言うのは恥かしい。  ビアンカの目を見ると、ほほ笑み見つめ返してくる。すごく綺麗でもっとと何かを求めてしまう。ビアンカと溶け合いたい。 「蔵之介、ここを」 ビアンカはそういって、蔵之介の手をビアンカの胸に触れさせた。 そこから伝わってくる熱と、鼓動は熱く早い。 「少し落ち着かないとな。でも蔵之介を見ているといつもこうなんだ。すごく触れたくなる。  それをずっと我慢してたんだ。君はまだ僕を求めていない。それに触れることは許されていないんだ」  ビアンカは蔵之介のおでこの髪をよけ、そこにキスをした。 「どういう事?」 「法で決まっている。ジュブナイルに性的な意図を持って触れるのは、ジュブナイルが求めている時以外は禁止とされている。初めて裸の姿を見たときすごく胸が熱くなった。ずっと我慢して、君の心と体を守ろうと決めていた。そして時が来て触れるのは僕が一番最初にしたいと。なのに……」 ビアンカはそこまでいうと、蔵之介に触れる手に力がこもった。 「ビアンカ?」 「許せない。君に触れ、精の肉を君にこすりつけた。そして、蔵之介を傷つけた」  ビアンカは怒っている。表情にそれがあまり見えないが、蔵之介の背中触れるビアンカの手が震えていた。  ビアンカをもっと求めて良いと、だれも止めてはいないとピーは言っていた。これは、蔵之介がジュブナイルでビアンカは法を守り、蔵之介の心も体も守ろうとしていたからなんだ。  それが分かり、蔵之介はビアンカの背中に手を回した。そして自ら身をビアンカの体を引き寄せ抱きしめた。 「ビアンカ、もっと触って」  蔵之介が言うとビアンカは蔵之介の背中を撫でた。 「その意味は分かってるのか?」 「うん」  ビアンカの問いは正直分からなかった。初めてすることだから分からない。けど 「初めてするなら、ビアンカがいい」  ビアンカはそれを聞いて蔵之介を組み敷いた。  唇を重ねると、すぐに舌を絡ませ深く蔵之介を求めた。  蔵之介は興奮するビアンカを受け入れようと抵抗しそうになる手をビアンカの背に回し握りしめた。  苦しい、けどビアンカとの交わりは気持ちが良い。  ビアンカの手は蔵之介の胸から腰、その下まで伸ばされた。  蔵之介はそこを触られる感覚に体をこわばらせる。ビアンカは荒く舌を絡めていたが、何かに気付き唇を離して、触れたそこを見た。 「ビアンカ?」  ビアンカは何も言わず、触れているそこの形を確認するように指先でなぞる。 「んっ」  蔵之介は声を漏らした。 「蔵之介、いつからだ?」 「何が?」 「いつから勃つようになった?」  蔵之介は、混乱して自分の下半身へと視線を向ける。そこには自分のものがまだ見たことも無かった姿で固くなっていた。 「え? あれ?」  蔵之介は自分でもそこに触れ、状態を確認するが今まで感じたことのない硬さがそこにはあった。 「勃ったのは初めてなのか?」 「う、うん」  蔵之介は戸惑いながら答えると、ビアンカは嬉しそうに笑った。 「ならいい」  そしてビアンカは蔵之介の硬くなったそこを手のひらと指で撫で刺激を与える。 「ビアンカ、待って。初めてだから。俺どうすればいいのか……」 「大丈夫、僕が知ってるから。蔵之介はそのままでいればいい」  ビアンカはそういうと、布団をよけ身を起こした。蔵之介の足の間に体を居れ、肩に蔵之介の足を乗せる。  蔵之介は何をされているのか分からず、恥かしそうにビアンカを見ていた。 「な、何するの?」 「気持ちよくするんだ」  そっと蔵之介の初めての熱を口に含んだ。 「ひぅっ、あ、やだ、駄目っ」  ぬるりとした舌が先端を刺激する。頭を動かされ、そこに吸い付かれると今まで感じたことのない快楽と快感が意識を襲う。 「やだっ、ビアンカっ、ぅあ」  ビアンカは目線だけ蔵之介に向け口の中で蔵之介の熱を絞り出そうと手でも刺激を与えた。  このままではおかしくなってしまう。セックスの感覚は小説でも読んだことがある。イくときはおかしくなる、それは何度も見てきた表現だ。それは本当だったんだと身をもって認識した。  こんなの、駄目だ。でも気持ちい。抵抗しようとするが、もっと欲しい。その感情から力が入らなかった。今まで味わったことのない刺激に意識がもうろうとしてくる。 「ビアンカっ、きもちい、いっちゃう」  いく感覚なんて知らない。けどこれがその感覚なんだと今なら理解できる。 ビアンカは下のまるいふくらみにも指を伸ばし優しく揉みこむ。頭を前後に動かし、口元ではじゅぶじゅぶと音をたてながら、蔵之介の亀頭の根本や先端に舌を這わせ  蔵之介は身をよじり、上半身だけ横を向きシーツを握りしめる。怖いいくのが怖い。なのに気持ちいい、ビアンカにならもっと触れて欲しい……どこまでも奥へ。 「ひっう」  声を堪えていた蔵之介はこらえきれず声を漏らし、腰をそらし熱を放出した。  ビアンカはそれを感じて動きを止めた。  口の中に広がる熱を味わい、さらに吸い付き、残っているものを吸いだした。  その行為に満足すると蔵之介の小さくなった熱から口を離し、出された熱を飲み込んだ。  蔵之介はまだいった余韻におぼれていて、何が起きているのか理解してなかった。 「っう」  目から一筋涙が流れた。  ビアンカは体を起こして、蔵之介の体に再び体を重ねる。 「ぅ、今は、やだ」 「わかった」  ビアンカは蔵之介から体を離し、隣に横になった。蔵之介は脱力し、はあはあと息を切らせている。  ビアンカは蔵之介の頬を指で撫でる。触れたくてたまらないというビアンカの感情がその手から伝わってくる。  これがイク感覚。それをかみしめるように目を閉じた。  蔵之介は呼吸が落ち着いてくるとやっと視線をビアンカに向ける。ビアンカは蔵之介と目が合うと頭を撫でた。 「落ち着いたか?」 「うん」  蔵之介は返事をしてビアンカの胸元に頭を摺り寄せた。  ビアンカも蔵之介に近付き抱き寄せる。 「どうだった? 初めての感覚は」 「すごく気持ちよかった」  蔵之介の手がビアンカの背中に回される。少しでもビアンカを感じたい。体を寄せると、まだ熱いビアンカの熱が蔵之介の体に触れた。  少し驚くが、蔵之介はそっとそれに手を伸ばした。  先ほどビアンカが蔵之介にしていたように、蔵之介もビアンカのそれを指でなぞり形を確認した。 「おっきい」  蔵之介はつぶやくように言う。それは巨体に押し付けられたものよりは小さいが、その存在感はそれに勝っていた。 「これ、俺の中に入れるの?」  蔵之介は恥ずかしそうに聞いてビアンカの顔を見た。  ビアンカはほほ笑んで、蔵之介の後ろの割れ目に手を伸ばす。 「ここに入れるんだ」  ビアンカの滑らかな指が蔵之介の萎みをこすると、蔵之介は動揺したように目を泳がせた。 「どうした?」 「あの、なんでも」 「本当に?」  ビアンカが聞くと蔵之介は渋るような顔をして、ビアンカを上目遣いでみた。 「ビアンカの、こすりつけて欲しいんだけど……」 「こすりつける? ……ここにか?」  ビアンカは割れ目を指でなぞる。 「うん、そこにこすられて、気持ち悪くて。その感覚を忘れたいんだ」  蔵之介はぴくりと体を跳ねさせた。  巨体の男に触れ垂れたところをビアンカに触れて欲しい。されたことを、ビアンカにもしてほしい。全部上書きして忘れてしまいたかった。 「蔵之介が望むなら」  ビアンカは再び蔵之介の足側にまわり、蔵之介の足を持ち上げた。蔵之介の腰を持ち上げさせ、後ろの穴が見えるほどに体を返させた。  蔵之介は初めてする体制に緊張し体をこわばらせた。  ビアンカはそっとそこに自分の熱棒をあてがいこすりつけた。  何度もゆっくり往復されると蔵之介は腰をくねらせ逃げそうになる。それを ビアンカはつかみ固定する。 「動くと上手くできない、じっとして」 「うん、ごめん」  蔵之介は恥ずかしさで顔が真っ赤だった。こんなの……。  蔵之介の目から感情的な涙があふれた。 「蔵之介? どうした?」 「何でも……ない」  蔵之介は口元を手の甲で隠すが、ビアンカはそれをどけた。 「何があった? あの男に他に何かされたのか?」  ビアンカが聞くと蔵之介は首を横に振った。 「もっと前……」 「前? 以前という事か?」  蔵之介はその言葉に頷いた。 「いじめられてたんだ。その時、服を脱がされた。ズボンもパンツも脱がされて。「嫌だ」って何度言っても聞いてもらえなくて、机に体押し付けられて、お尻を見られて、穴まで見られたんだ……それを写真に取られて……」  蔵之介は涙を流しそれ以上喋れないのかのどを詰まらせたような声を出した。 「僕に見られるのは嫌か?」  蔵之介は首を横に振る。ビアンカはそれを見て蔵之介の体に覆いかぶさり抱きしめた。 「僕が忘れさせてやる、蔵之介が嫌だったこと全部」 「うん」  蔵之介は声を絞り出し小さく言った。 「んっんん」  蔵之介は少し堪えた後苦しそうに息を吐きだした。後ろの萎みは既に緩みはじめ、ビアンカの指が内壁を押し中をやんわり広げていた。ビアンカは先ほどと同じ体制で蔵之介の腰を持ち上げていた。 「本当にここをいじるのははじめてなのか?」 「うん、触られはしなかったから。みんな汚いって言ってた」  ビアンカはそれを聞いてしばらく蔵之介の開いたつぼみ口を見ていた。 「すごくきれいだよ。それに柔らかい」 「い、いいよそういうの言わなくて!」  蔵之介は恥かしくなり、思わず言い放つ。  初めて勃起して、精通をビアンカの手により促され、さらには後ろのつぼみまで開かれた。全部ビアンカに持っていかれている。  嫌じゃない。むしろ安心できた。ビアンカになら何をされても大丈夫だと思えた。中の奥まで、全部ビアンカに満たしてほしい。無意識につぼみがヒクヒクと動く。それはビアンカを求めているようで恥かしい。 「指に絡みついてくるみたいだ」 「んぅ、もういいよ、挿れて……」 ゆっくり中をいじられじれったくなり蔵之介は求めるように言った。 「まだ駄目だよ、指増やすと痛がるじゃないか。僕のはそんなに小さくない」 ビアンカはゆっくりともう一本指を追加すると指は四本に増やされた。 「んぁう、痛いっ」 ぎちぎちと口を開かれ、皮膚がむりやり引っ張られそこに痛みが走る。 「いいよ、こういうのって挿れちゃえば平気っぽいし」 「それは本での話だろう。無理にすると体が変形したり、そこから菌が入ったりする。無理はさせられない」  ビアンカは優しい。体や心を気遣ってくれる。それが蔵之介の心を溶かし、痛みなんてどうでもいいと思わせて居る事にも気付いていない。  蔵之介はビアンカを求めることに意識がいって、おかしくなってしまいそうだった。しかし、ビアンカもこだわりがある様で納得するまで待つしかなさそうだった。 「んうぅ」  指を何度か出し入れされ、中をこねるように指を動かされ、何分経ったかわからないがつぼみはだいぶ緩んできていた。  こねられている間、たわいもない話をビアンカに振られるが、後ろをこねられる感覚に意識が行ってしまい空返事ばかりして何を聞かれたのか覚えていなかった。 「そろそろよさそうだな」  ビアンカはやっと納得したのか指をつぼみから抜かれた。長時間入れられていたせいで、後ろのつぼみは緩み口が開きヒクヒクとうごいていた。 「挿れるよ」  指でじらされイくことも出来なかった蔵之介はやっと貰えると、指を抜かれた解放感に一息ついた。  ビアンカは蔵之介が涙目で頷くのを見て、ゆっくりと先を緩んだつぼみにあてがった。緩んいてもビアンカの熱棒の方が太い。当てられてる感覚でそれが分かるが、ビアンカは蔵之介の腰を持ち上げ、上から押し付けるように中へと侵入を進めた。腰をそらせているせいで中に入っていく所が蔵之介の目にもはっきり見えた。  進むにつれ圧迫感が迫ってくる。 「あっ、ビアンカっ……、まっ」 「痛むか?」 「痛くは無いけど、苦しい」  苦しくても、ビアンカのモノだと思うと辛くはなかった。誰かを、こんなに受け入れたいと思うほど好きなるなんて思わなかった。  時間をかけて緩めたおかげで、痛みもなくすんなり奥までビアンカが中におさまった。 「深い……」  ちょっとでも身動きするとビアンカのモノが中をえぐるような感覚を味わい、蔵之介は肩を震わせた。 「動くよ」  ビアンカは蔵之介を抱きしめながら腰を浮かせ、中から半分ほど引き抜いた。中の圧迫感が減り呼吸がしやすくなる。蔵之介はこれ以上抜いて欲しくないとでもいう様にビアンカを抱きしめ、背中に足を回した。 「中、すごく熱い」 「ビアンカのもすごく熱いよ。もっと奥に欲しい」  蔵之介はとろんとした目で酔ったような涙目でビアンカを見つめた。 「分かった」  ビアンカは抜き切る前に再び奥へと推し進めた。それを何度か繰り返される。  中を広げられ抜かれ引かれていく。幾度となくそれが繰り返されると中がどんどん感度が上がっていくの感じる。 「ビアンカ、ちょっと、なか、気持ちいい。引っ張られてる」 「あぁ、糸を貼ってるから抜けば中を全部刺激できる」  蔵之介は、最初になかった感覚が増えてる理由を理解し、ビアンカの背中に回した手を撫でるように動かした。  ビアンカが動くたびに内臓が引っ張られているよな感覚を味わう。それは気持ちよくてちょっと怖い。  次第に外にも糸を引き始め、お尻にねばねばした感覚が広がった。  ぐちょぐちょと音をてて糸を引く。  次第にビアンカの腰の動きが早まっていき、ぐちょぐちょという音と同時にベッドが軋む音が部屋に広がる。肌が当たるとパンパンと音がなり、互いに触れる感覚を味わった。 「んんうぅ、きもちぃ、奥、深くて……」  動くたびに糸が奥にまで吐き出されるのか、ビアンカが到達していない先まで内臓をこねられる感覚が伝わる。  苦しくて、呼吸をするのがやっとになってどんどん意識が遠のきそうになる。 「蔵之介、そろそろ出すよ」  ビアンカはさらに激しく中をこすり、荒い息を蔵之介の耳元で響かせ、中に熱を放った。蔵之介もそれと同時に中イキしてきゅうとビアンカの熱棒をから絞り出すように強く締め付けた。  蔵之介はビアンカをぎゅっと抱きしめ、次第に体のこわばりが抜け、意識を飛ばす様に眠りに落ちた。

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