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第1話

何気なく彼氏の家に寄ると、またか、な事態だった。 行きつけのバーで知り合い、交際を始め、半同棲の和典がまた浮気した。 「和典、誰、この人」 勝気そうな、晶とそこまで背丈は変わらない、170cmは無さそうな小柄な20代と思しき、青年が食ってかかる。 「...またなの、和典」 2人ともボクサーだけの姿。 「ち、違うんだ、晶。これは...」 「なにが違うの?何回め?」 そんなやり取りを怪訝な面持ちで青年が見守っている。 「...どういうこと?」 「欲しいんならやるよ、そんな男。半年の間、何回、浮気したことか。次が最後だからね、て言ったのに、この有り様なんだから」 そのまま、1人で部屋を出るつもりだった。 「ちょ、ちょっと待って」 和典の浮気相手が慌てて服を着、早足でついてきた。 「...1人で飲み行くつもりなんだけど」 「俺も一緒に飲ませてよ。俺もあいつに騙されたんだから、彼氏はいない、て言われて疑わずに付き合ってた」 肩を並べ歩いた。 これが、晶と光の出逢いだった。

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