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第183話 特定

ユウヒは久しぶりの学校を誇らしげに歩く。今は自分がヒーローにでもなった気分だった。サキはあちらこちらの水を取っては全部ダメだと首を振った。  しばらく歩き回ると、サキが外を眺めた。  (ここだと…)  「サキ兄どうしたのー?」  ユウヒはシズクの席を見つけて椅子に座り、ブラブラしていた。シズクの席だけ隣がくっついていた。ユウヒが勝手に隣の人のノートを開くと、ゲッと言い、急いでしまった。  「お前こそどうした?」  「うへぇー。シズクの隣、外国人だ!」  「噂のお嬢様じゃないか?」  「あ!そうかも!」  日本語まだまだだな、と笑うユウヒを無視してサキはもう一度窓の外を見た。  (俺なら…あそこで待機するはずだ。)  「ユウヒ、ちょっと来て」  「あー?何でだよー?シズクの机に、俺、参上って書いてからだ!」  「参上ってそんな漢字だったか?」  「え?違う?」  ユウヒが書いた文字を見て2人は首をかしげた。  『オレ、山上!!』  「まぁ、いいか。シズクなら伝わるだろ」  「ニシシ!ビックリするだろーな!」  2人はそのまま教室を出た。  サキが向かったのは学校の敷地から離れた丘。古い古屋があった。  「やっぱりな。教室からは見えないが、ここからはよく見える」  「犯人はここにいたのか?」  「恐らくな。」  サキはミナトに報告して、古屋を漁ると、乱雑な部屋の中に薬箱と思われるものや、未使用の催涙弾があった。 「ここが隠れ家ってことか。地理をよく分かってる奴だ。外国人の線はない。依頼されたのか…。」  サキが催涙弾を触って確認していると、ユウヒが静かになった。  「サキ兄。家主がお帰りだぜ。」  ユウヒが眼光鋭く外を見る。 そして出てきたのは、総会にも参加し、選ばれた10組の中の若頭。最近部下が別のチームを作るなど荒れた組だ。  「な、なんでお前がここに!?」  「へぇ?親父に忠誠を誓ったはずだけど…見事な裏切りだな。親父のシマを荒らすなんて。」  ユウヒはニヤリと笑い、瞳がじんわりと紅くなる。  サキは2人から距離を取ってミナトに報告すると、アサヒを行かせると連絡が入った。  「父さんが来るまでもねぇよ。裏切り者はリツさんだけで十分だ」  ユウヒはパキパキと指を鳴らした。 

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