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第72話 美しい羽 (※)

 古い訓練場の更衣室の中、明らかにこの場に相応しくない淫らな水音が聞こえて来る。 「んっ、あっ、はっ……!あ、あのさ、ここでこれって、していいのか?」  アレスの膝に座った状態で後孔を貫通されているレリエルが聞く。超短丈脚衣(ホットパンツ)はずり下げられ、太もものあたりに絡まっている。  レリエルはアレスに下から突き上げられつつ、紐吊るしの肌着(キャミソール)の布越しに乳首をくりくりといじられていた。 「ダメ……だよな……」  泣くレリエルを抱擁した後、どうにも我慢がならず、更衣室に連れ込んで始めてしまった。少しの愛撫でレリエルの秘部は濡れ、戸惑いながらもアレスを受け入れてくれた。アレスはほとんど服を脱いでいない。ただ騎士コートを脱いで脚衣をずり下げただけの状態だ。 「あんっ、あぁっ!き、昨日の夜もしたのに、どうして……また……」  レリエルの体の負担を考えて、ようやく「遺伝子注入」の頻度を落とし二日にいっぺんにしていたが、昨夜はした日だった。 「可愛過ぎて我慢できない」 「えっ……、んっ、あぁん……っ」  アレスは腰を突き上げレリエルの中を味わいながら、手を股間へと伸ばし、すくと立ち上がりぷるりと震えている桃色の突起を握りこむ。その小ささを堪能するように、親指と人差し指で扱いた。 「羽も、ここも、ここも、どこもかしこも小さくて可愛らしいなお前は」 「ここって……」 「俺が今触ってる、こことここ」  左手でなだらかな胸を布越しに撫で、右の手の中で茎の先端を捏ねる。 「う、全部小さくて悪かったなっ」 「悪くない、可愛いって言ってる。小さくて可愛い俺の嫁……」  愛しげにレリエルのうなじに鼻先を埋め、何度も口付けた。  薄い胸の丘を撫でれば手の平をこする、ぷくりとした粒。手の中にすっぽりと納まる細い茎。そしてアレスの欲望を飲み込む細い腰。  その全てがアレスを煽る。  羽を優しく舌でなぞると、レリエルが官能的に身を捩った。 「はうんっ……!ま、またヨメって……。それ言われるとなんか恥ずかしい……」  嫁の意味をちゃんと理解してないレリエルは、それでも嬉しそうにつぶやいた。  既に張り詰めてるアレスの股間がぐんと硬さを増した。 「はうっ、やあっ、大きくなっ……」 「言……っただろ、お前が可愛過ぎると……、我慢出来なくなるって!」  アレスは一旦、ずるりと猛りを引き抜き、レリエルを仰向けに寝させた。  超短丈脚衣(ホットパンツ)が太ももを縛るように絡まる。まるで脚を拘束されているような姿が欲情をそそる。  そのまま両足を折るように持ち上げて覆い被さり、熟れた穴にまたずぶりと欲望を突き刺した。レリエルが甘い呻き声を上げた。  アレスは両手で太ももを鷲掴みにして腰を揺さぶった。アレスの動きに合わせてレリエルの閉じた両足が宙でがくがくと震える。 「あっ、あっ、あっ、あっ!」  脚を縛られ嬲られているようなその煽動的な姿を十分に堪能したら、するりと超短丈脚衣(ホットパンツ)を脚から抜いた。  細い両脚を割って前屈みになる。アレスは紐吊るしの肌着(キャミソール)の布越しに、つんと立つ乳首に食らいついた。布ごと乳首をじゅうと吸い上げた。 「あっ、やあ……っ!へ、変なことするな……っ」  布越しに胸を吸われ、レリエルは恥ずかしそうに悶える。アレスは執拗に両方の乳首を吸い上げた。いつもより強めに甘噛みして舌でなぶる。紐吊るしの肌着(キャミソール)は唾液で濡れて丸い染みを作った。  アレスは蕩けたレリエルの顔を見下ろして呼吸を荒げる。  紐吊るしの肌着(キャミソール)をそろりと捲った。  布の下から、丸い粒が現れる。桃色のそれは既にほんのり赤く熟れている。アレスはごくりと唾を飲み込み、唇で挟んだ。 「んっ、あ……っ、は……っ」  直接、乳首を吸われレリエルが甘い息を吐く。  アレスはいよいよ我慢ならず、突き上げを速めた。レリエルの肉洞は狭くそして柔らかく、アレスをギチギチ、グニグニと包み込むようにうねる。  速度を上げたその結合部から、耳を侵す卑猥な水音が絶え間なく響く。レリエルの嬌声もますます艶めいた。  近頃は前立腺のみならず、奥の方も感じるようになっていて、アレスの太く長いもので深みへと突き上げれば、泣きそうな顔で快楽に悶える。 「やっ、奥っ……、頭、変にな……っ!あああっ!」 「レリエル……っ、愛してる、愛してる、愛してる……っ」 「ふぁっ、あぁんっ!あぁんっ、や……っ、あ……っ、あっ、ああああ……っ!」  レリエルの絶頂の声音とほぼ同時に、アレスの白濁がレリエルの中に吐き出される。レリエルの特殊な肉体は、その白濁を内部の粘膜の中にほとんど吸収してしまう。  羽が振るえ、幽かな光を帯びた。  もう何度も見ている光景なのに、その神秘的な美しさはアレスの心を奪う。  アレスはこみ上げる愛しさのままに、絶頂の余韻の中にいるレリエルの上半身を抱き起こした。上気した頬を片方の手のひらで包みながら、もう片方の手を羽に伸ばす。  まだ光を帯びている羽を、労わるようにそっと撫でた。 「本当に、お前の羽は美しい。お前の羽だけが美しい。レリエルだけが本物の『天使』だ……」 「アレ……ス……」  レリエルはきらきらと瞳を潤ませる。  アレスは愛しさをかみ締めながら、その緩む口元を食んだ。愛らしい唇を優しく濡らす。事後のキスはいつも、心地よい。  唇が離れると、見つめあい、照れ笑いした。  互いの瞳の中に恥じらいが復活したら、それは日常が再開する合図だ。 ※※※   「いきなりだからびっくりしたよ、こんなとこで!」  レリエルは超短丈脚衣(ホットパンツ)を着直しながら、呆れたように笑う。 「すまん、もうしない……多分」  アレスもかっこ悪く乱れた服装を整える。  任務中に訓練場の中で不埒なことをしてしまった。騎士としてあるまじき行為であることは分かっているが、いま正直、後悔はしてない。  羽が可愛いと言っただけで喜んで泣き出すレリエルなんて、抱かずにいられない。  断じて超短丈脚衣(ホットパンツ)紐吊るしの肌着(キャミソール)に陥落したわけではない。断じて。 「まったく、おかげで僕の体はアレスの遺伝子だらけだ」 「いつも羽が綺麗に光るんだな」  レリエルは気恥ずかしそうに目を細めた。 「羽が光るとき、体中がアレスでいっぱいになる感じなんだ……」 「お、俺でいっぱい?」  レリエルは照れたようにこくんとうなずく。 「ああ、僕の中、隅々までアレスの遺伝子に満たされて、とても心地いい。アレスと一つになるみたいな感じなんだ」 「……」  レリエルの言葉に、アレスの心が思い切りざわついた。  目を泳がせながらどもり気味に聞く。 「そ、それって、ど、どういう……」 (どういう意味だそれは!そんなこと言われたら自惚れるぞ!絶対に自惚れるぞ!お前は俺を愛しているのか!?ああそうに違いない、お前は俺を愛してるんだな!?)  レリエルがきょとんと不思議そうな顔をする。 「ん?どういうって、何が?」 「……なんでもない」  アレスは自己嫌悪にうなだれた。 (聞けよ俺!しっかりしろ!なんで結婚どころか恋人関係かもはっきりしない状態で行為だけしてるんだ俺は!これって帝都男以下じゃないのかもしかして!?)  レリエルは屈託無く笑った。 「はは、変な奴だな」 「は、はは、そうだな……」 (駄目だ!やっぱりちゃんとプロポーズしよう、近いうちに!)  もちろん本当に結婚することなど不可能なのだが、大事なのは気持ちだ。気持ちをしっかり、伝えること。  アレスは決意しながら濃紺のロングコートの詰襟ボタンを留める。 「じゃあ訓練の続き……」  その時だった。  二人の首からぶら下がる透明なピラミッド、天使感知器が急速に熱を帯びた。  青く発光を始める。  アレスとレリエルは息を飲み、顔を見合わせた。  アレスはしまった、という顔をして憎憎しげに手で額を押さえた。 「くそっ、またなのか、死霊傀儡!壊滅させたはずなのに!しかもトラエスト城に出没だと!?」  ジール宰相の懸念通りだった。やはりそう甘くはなかったようだ。 「行こうレリエルっ!光が強くなる方へ!」 「あ、ああ!」  ※※※

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