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24 お願い
それから数日、買いすぎた食材を全て使い終えるために、1週間は拓馬宅で4人で一緒に夕食をとることになった。
その最終日の金曜日、歩が3人の顔色を伺いながら、ちょっとお願いがあるんだけど、と口を開く。
「お願い?どんな?」
「改まって珍しいな」
「俺達でできる事なら何でもいいよ」
3人はすぐに了承してくれたが、歩は少し緊張しながら口を開いた。
「実は、大学近くの駅前にね、新しいカフェが出来たんだって。そこのパフェが美味しいんだってサークルの女の子たちに聞いて…一緒に行ってくれない?」
「俺行くっ!」
パフェ、という言葉に即答してきらきらと目を輝かせる佑。
甘いもの好きには堪らない誘いにとても嬉しそうだ。
拓馬と和樹は甘いものはさほど得意ではないのを分かっていたので、2人はどうだろうと歩は顔色を伺う。
「拓馬たちはパフェは食べきれないかもだけど、ランチタイムに昼食も兼ねて行くんなら4人でどうかな?」
「そこで飯食うの?それなら俺は全然いいよ?」
「俺は珈琲に興味があるから行きたいな。いつになく真剣にお願いなんて言うから、何か重大な問題でも起きたのかと思ったよ」
佑の提案に拓馬と和樹も頷いてくれて、歩は嬉しそうに顔を綻ばせた。
「やった!3人ともありがとう!俺にとっては重大な問題だったの!」
「そんなの重要な問題だったの?パフェがあるって分かってたら俺は一緒に行ってたよ?」
「佑は甘いもの好きって知ってたからきっと一緒に行ってくれるだろうと思ってたけど、女の子から聞いた情報だから女の子も多いだろうし、新装開店で人も多いだろうしさ。そんな中に男2人で行くっていうのも気になるかなって思ってたから、4人が良いかなって思ってたんだ。でもカズも拓馬も甘いものは苦手でしょ?だから…あいたっ」
不意に横から拓馬に小突かれ、歩は頭を押さえた。
見れば他の2人も呆れたような顔で自分の方を見ていて戸惑う。
「馬鹿だな。俺達がそんなこと気にする訳ないだろ?」
「俺は2人だったとしても全然大丈夫だよ。むしろ店の情報とか知らないから教えて欲しいし甘いもの巡りしたい!」
「昔から自由なのか気遣いなのか分からないな歩は」
「あは、ありがとっ」
他人から、自分がどう見られるか。
高校に入ってからは大分気にしなくなっていたものの、まだ時々こうして怖くなり、顔色を伺ってしまうことがある。
でもこの友人達には遠慮しなくて良いのだと、歩も少し自信を持つことができるようになった。
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