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第65話
ショーの翌日には、SNSにショーに関する投稿が溢れ真那人の名前やショーの名称がトレンドワード入りを果たすほどだった。ショーの前から、真那人が一夜限りで復活をするということで話題にはなっていたのだが、終わった直後から『やっぱり真那人は最高』だとか『ますますカッコよくなってた!』『また真那人が見れて夢みたい』などの声が相次いだ。
「なんだ、凄く人気じゃないか。お前がモテモテで誇らしいよ」
SNSでその状況をチェックした周防がからかい半分に褒めると、真那人は顔を恥ずかし気に赤らめた。
「止めろよ、う、嬉しいけどさ」
真那人自身は、そこまで大きな反響は起きるとは思わなかったのだ。
ショーから半年後、真那人は変わらずにKSグループで仕事に励んでいた。
変わったのは、周防と暮らし始めたこと。周防が空いている部屋があるから一緒に住まないかと言ってくれたのだ。
ニ人でいられる時間が増えることは嬉しいし、前にも増して愛し合う時間をもてるから、真那人も幸せを感じている。
ある日の朝、ニ人で朝食を摂っている時に何気なく周防が切り出した。
「そういえば、お前のお母さんはどうしてる?一人暮らし?」
「え?あぁ。再婚もしてなくてさ、今も働いてるよ」
真那人の母親は、おっとりしているようでいて、バリバリと働くファッションデザイナーだ。真那人の父親とは仕事関係のパーティーで出会い、恋仲になった。
父親とは結婚はできなかったものの、精一杯真那人を育ててくれた。
真那人がモデルをやると言った時、手放しで応援してくれたのも母親だった。
「そうなんだ。俺も、お母さんに会って挨拶したいな。これからもずっと、一緒にいるんならさ」
「周防さん……」
言葉にできない喜びが、真那人の内に湧き上がってくる。
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