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30.それは宝物 24【終】

真反対な俺たちだから、これからもぶつかることだってあるだろう。 長い年月を過ごしていけば、俺の天の邪鬼っぷりに流石の修平もキレるときがくるかもしれない。 修平だって俺の為にってまた何かしでかすかもしれないし、その時は俺がキレてでも止めなくちゃ。 それに、普通の喧嘩だってこれから何回もすると思う。 でも、乗り越えていこう。 2人で生きていくって決めたんだ。 俺だって修平と過ごす全てが宝物なんだから。 そう思ったら気分が高揚してきて、修平に抱きつきたい衝動にかられた。 でも、今抱きついたらバカっぽいかな? なんて考えながら布団からちょこっと顔を出すと、修平が俺のこと見て微笑んだ。 なんだよ、こっちは色々考えてるのに頬杖なんかついて余裕ぶっこきやがって。 軽くムカついたから少しだけむくれてみる。 「浮気したらリコンだからな」 「僕は逆だな。千秋が浮気しても離婚してあげない」 「するわけないだろ!!」 「僕だってしないよ。千秋が望むなら千秋以外とも喋らない」 「……それはやめろって」 本当にやり兼ねない気がして呆れていると、修平はまたクスクスと笑っていた。 そんな笑顔はやっぱ格好良くて、そんなやつが俺のこと好きとか今更ながら信じられないくらいの嬉しさがこみ上げてきて思わず顔がほころんだ。 だから、やっぱりバカって思われてもいいから思いっきり修平に抱きついたんだ。 「千秋?」 不思議そうな顔をしている修平にしがみつく。 「なぁ、修平。俺のことぎゅー……って、してみろよ」 すると修平は目を細めながら言ったんだ。 「千秋には敵わないな」 こんな完璧な男が俺に敵わないのか。 なんてちょっとした優越感に浸りながら力強く抱き締められると、俺も回した手に力を込めた。 修平はさっき、自分が俺を幸せにしたいとか言ってたけど、俺だって同じ気持ちなんだ。 今までもこれからも毎日、“好き”って気持ちを積み上げていくから、俺だって千年先もきっと修平のことが好きだ。 千年先も……とか、俺はやっぱり恥ずかしくて口には出せないけど、俺も修平を幸せにしてやりたい。 いや、俺が修平を幸せにしてやる。絶対にだ。 「……修平、これからもよろしくな」 微笑んで頷く修平に目を細め。 柏木千秋、人生の勝率100%を噛みしめながら、修平に優しくキスをした。 それはこれからを暗示するような、甘い甘いキスだった。 =終= ここまでお読みいただきましてありがとうございました。 感謝を込めて。 2018/12/16 高槻 悠

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