53 / 622

5.宙に浮いた気持ち 4

「何すんだよ」 「もう帰るつもり?」 「だから、帰るって言っただろ?」 「嫌だな……」 どうしてお前に従わなきゃいけねぇんだ。 俺が帰るったら帰るんだよ。 寂しそうな新藤の顔は俺をムカつかせる。 すると新藤は壁に俺を押し付けて顔を近づけてきた。 「まだ返事を聞いていない」 「へ、返事? 何の返事だよ」 「僕の告白に対する返事。僕は何度も君に好きだって言ったよね」 返事!? そう言われてハッとした。 「何? その顔は……僕のことは好きじゃない?」 「そ、そんなの知るかっ」 「返事してくれるまで帰さない」 「はぁ!? 監禁でもする気かよ」 俺は迫られて後ずさりしたくなる。 そんなこといきなり言われたって……。

ともだちにシェアしよう!