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5.宙に浮いた気持ち 5
「本当に千秋は強情だね。そんなところも嫌いじゃないけど、こういう時は言って欲しい」
「何を! 俺が好きな前提みたいに言ってんだよ」
その時、ポケットに入れてた携帯がなった。
取り出してみるとディスプレイにマリエちゃんからのメールであることが表示されていて。
え⁉︎ いつもは俺から送らないとメールなんて来ないのに!
一瞬、顔が綻んだ。
昨日は変な形で解散になっちまったからなぁ……また、次の約束とか?
やべー、早く見たい。
すると、その手を新藤が掴む。
「そんなに嬉しいの? 彼女にとって君は僕のおまけなんだよ?」
「おまけだとー!? ふざけんな! ちゃっかりマリエちゃんの弁当食べときながら!」
すると新藤はあからさまにため息をつく。
「弁当? ……あ、昨日のね。あれ、殆ど冷凍食品だったし、おにぎりは固すぎてさ。あんなの食べたかったの?」
「そりゃ、食べたかったに決まってるだろ!」
「僕の方が何倍もおいしいものが作れるんだけど」
「うっ……」
あんなプロ並みの料理を食べさせられた後では言い返せない。
すると新藤はゆっくりと顔を近づけてきた。
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