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6.俺だけがいない 5
その徹底した無視はその次の日も続いた。
でも、俺だってやられっぱなしにはいかない。
だから、今日はとっておきの秘策を用意してきたんだ。
というのも……今日、俺はワイシャツの下に派手な柄シャツを着てきた。
うちの学校にはワイシャツの下は無地のシャツでないといけないという校則がある。
今まで何度も新藤に注意されてきたことだ。
でも、今日俺が着てきたのは過去最高のとんでもない柄シャツだ!
あの新藤のことだ、これだけ派手なシャツだったら見逃さずにはおれまい。
きっとアイツは俺に注意してくるはずだ。
フフン。
俺は勝ち誇った顔で登校した。
「柏木、なんだその服……。そんなんじゃ、また新藤に小言を言われるぞ」
そう言って心配そうな顔をしている内川には悪いが、俺はわざと着てきたのだ。
新藤が俺を無視するとか、ムカついてしょうがねぇ。
それなら無視できないようにしてやるまでだ。
「教室行く前にその服脱げよ」
「いいんだよ。新藤がなんだ」
そう言っていると、下駄箱で新藤とすれ違った。
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