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7.夕焼けは媚薬 12
新藤は目を細めながら、俺の髪を撫でた。
「千秋……好きだよ」
胸が張り裂けそうなその言葉を聞くと、甘い新藤のキスが降ってくる。
一瞬、体が強張ったが、触れた唇の隙間から侵入してくる舌を、俺も抵抗することなく受け入れた。
すると、どうしてだろう。
ヤバいくらい、気持ちいい……。
「……っふぁ…んっ……っ」
意識ががトロンとしてくるくらい、頭の中が新藤でいっぱいになる。
自分も好きだと確信するとこんなにもキスって変わるのか。
何もかも初めてのことだから、なすがまま新藤にしがみつく。
話をしなかったのはほんの数日なのに、何年も離れていたみたいに俺たちは貪るようにキスをした。
どうしよう。なんだ、これ。
好きで好きでたまらない。
そんな気持ちが溢れてきてしまう。
キスしたら余計にそう思う。
唇が離れると、ツーっと糸を引く唾液が垂れてなんかエロくて、
目を合わせるのが無性に恥ずかしくなって、思わず横を向いてしまった。
すると、あるものが目に入った。
いや、そこにあったのを思い出したんだ。
それは、俺のシャツ……。
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