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7.夕焼けは媚薬 19

「隠さないで顔見せて」 「や、だ…! み、るな……!」 気持ちよすぎて怖いとか経験なくて、狼狽えてる顔も見せたくなくて、 すがるように俺が新藤の腕を掴むと、新藤は優しくキスを落とした。 ぎゅっと瞑った目をゆっくり開くと、新藤が目を細める。 胸がぎゅんと撓った。 新藤は何も言わずに啄ばむようにキスをする。 上唇を軽く噛んだあと、唇のきわと歯の隙間を撫でながら舌が滑り込んで来る。 感じやすい先端部分を舐めまわされると、びくんと腰が跳ねた。 そして絡み合った舌が離れると、新藤はそのまま耳を舐め、そこを甘噛みし。 囁くように言ったんだ。 「大丈夫。もっと気持ちよくなるとこ見せてよ」 やっぱり全てお見通しなのかと思っていると、新藤が俺のことを抱き寄せる。 「挿れるね……」 固くなった新藤のが俺の中に入ってくる。 「……んっ…はぁ……あっ」 まだ慣れてないから少しキツイ。 でも、それ以上に体中が震える。 何度も何度も、絡み合うようなキスをしてもう頭ン中はお前しかいなくなって。 同じように、お前の頭ン中も俺でいっぱいにしたい。 いつの間にかそんなことを思っていた。 「……し、新…ど……っ」 俺は新藤の名前を呼ぼうとしたが、直前でやめる。 こんなんじゃ、足りない。 こんなんじゃ、伝えきれない。 もっと、もっと、溢れそうな気持ちを言葉にしたいと思った。 だから、俺は口を開いた。 これが自然だと思ったから。 「…………修平。…好、き……」 そのときの新藤の顔を、俺は一生忘れないと思う。

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