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番外編① 僕の可愛い人 4

そんな時。 ちょうど思ったとおりの時間に予鈴のチャイムが鳴ったので、千秋のモノから手を離すと僕は立ち上がった。 「さぁ、教室に戻ろうか。HRが始まる」 すると、きょとんとした顔の千秋がそこにいて。 「お、おい……」 「どうしたの? 遅れるよ」 わざとそっけなく言うと、千秋は潤んだ瞳で訴えかける。 「こ、これはどうしたらいいんだよ!」 千秋が言うのは完勃ちしたもの。 これからって時に手を離したから、そこはヒクヒクと快楽を求めて、それを隠すように千秋は壁にもたれながら座り込んでしまった。 そして、床に座りながら僕を見上げている。 どうにかして欲しいとでも言うように、いつもはつり上がった眉尻を下げてまで。 可愛いなぁと思いながら目を細め、千秋の髪の毛をすきながら言った。 「1時間目我慢したらシてあげるよ」 「ふ、ふざけんなよ、てめぇ」 そういいながらも懸命に我慢するのを僕は知ってる。 ちょっとイジメすぎちゃったかな? いろんな表情の千秋が見たいから、たまに意地悪が過ぎてしまう事だってある。 そんな僕は鬼か悪魔とか思われるかな? でも、こればっかりは可愛すぎる千秋が悪いと思う。 だから、1時間目の数学が実は自習なのも今は黙っておこう。 「今日は我慢する千秋が見たくなった」 「ふざけんな。この変態! お前なんか嫌いだ」 千秋は顔を真っ赤にさせて言うんだけど、どんなに君が僕を嫌っても僕はもう手放さない。 「ごめんね。でも、我慢できたらたくさん良くしてあげるよ」 耳元で喋ると息がかかったんだろう。 身震いする千秋はますます可愛く見えた。 こんな僕の本性を知っても千秋は一緒にいてくれるかな? 手放すつもりはないけどたまに不安になる。 僕は上目遣いでくっついてくる千秋の頭をそっと撫でた。 ──自習の課題プリントが終わったら思い切り可愛がってあげよう。 =僕の可愛い人 END=

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