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番外編① 僕の可愛い人 3

僕は千秋の手を引いて階段を上ってひとつ上の階に連れて行き、そこで千秋をぎゅっと抱きしめた。 「お、おい……誰か来たら」 「誰もこんな時間にこの階には来ないよ」 そこは理科室だの音楽室だのが並ぶ階で、この時間は人がいないくてとても静かなのだ。 最初は離れようともがいていた千秋もようやく大人しくなる。 まるで、僕に全てを委ねるみたいに体重をかけて来て可愛い。 僕はこのギャップが何よりも好きかもしれない。 素直になる瞬間とか。 あんなに悪態ついて命令口調なのに、こうやって大人しくなるところとか、可愛く喘いですがりついてくるところとか堪らない。 「キスマークつけたの怒ってる?」 千秋の顔を覗き込むと、千秋は頬をほんのりと赤らめながら目を逸らした。 「怒ってるっつーか、びっくりしたっつーか」 「また僕にも付けていいよ?」 「前のがまだ消えてないだろ」 「千秋にだったら毎日でも付けてもらいたいよ」 「うるせーよ」 ほらまた、うるせーとか言いながらも耳まで赤くしている千秋はやっぱり可愛いと思うんだ。 そんな表情を見ていると、我慢できなくなってしまう。 千秋の赤くなった耳を軽く甘噛みした。 「今すぐ抱きたい。授業サボっちゃおっか?」 「は、はぁ!? ゆ、優等生の言うことかよ!?」 動揺してる千秋も可愛くてたまらないから、また意地悪したくなるんだよね。 「たまにはいいんじゃない? 千秋だってもうその気なんだろ?」 そう言って千秋の中心部を触るとほんのりと固くなっているのがわかる。 本当に素直で可愛いんだから。 「待てって……こんなとこで……触るなぁ」 素早くベルトを緩め、滑り込ませた手が千秋のモノに触れる。 先の方を弄るようにしてやると、千秋が体を震わせた。 「待て待て……っ、声出る…っん」 我慢しながら訴えるなんてすごくそそられるし、気持ちよさそうに潤んでいる目とか息遣いとかも僕を欲情させていく。 本当にこのまま抱いてしまおうか……そう思わせるくらいに。

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