147 / 622
番外編② 事の真相 4
どうして、新藤!?
え? え? もしかしてバレてるのか!?
なぜ、新藤なのか理由が知りたくて俺は塚本さんに詰め寄った。
「な、なんで新藤なんだよ」
「1年のときにしょっちゅう何かしら言われては喧嘩してたでしょ? そこに実は愛があったら……って想像してたら萌えたの」
も、萌えですか……。
いや、いやいやいや。
ここは否定しておかなければ! 変に思われるっ!
「つーか、愛なんかあるかっ!」
「だから妄想なんだってば! 新藤くんが、実は柏木くんが好きだったっていう設定で、最初のほうで半ば強引に……みたいな。やっぱり新藤くんは攻めかな。柏木くんって強気受けって感じだよね。新藤くんはあーみえてドSだったりして。きゃーやばーい!!」
塚本さんは妄想に夢中になって一人で盛り上がり一生懸命あらすじを話しているけど、あながち間違っていなかったり……。
こいつ本当は知ってんじゃねぇの!?
と思うも、妄想の世界にとらわれている塚本さんを見ているとそうは見えない。
「あれ、千秋。何してんの?」
そんなとき、聞こえてきた声に俺も塚本さんも気がついた。
「し、し、し、新藤くんだ……っ!」
妄想で頭がいっぱいになっていた塚本さんは、目の前に現れたリアル新藤に頭の容量がいっぱいになってしまったんだろう。
彼女はまた盛大に鼻血を噴出して一瞬よろけたものの、パニック状態のまま階段を駆け下りて行ってしまった。
さすがにそれは新藤も驚いたようで。
「何、どうしたの。彼女……」
「この間言ってた、鼻血で延期の子だよ……」
「あ、あれって本当のことだったんだ」
って、信じてなかったのかよ!
何はともあれ、俺の告白騒動は勘違いだったということで……幕を閉じたのだった。
= 事の真相 END=
ともだちにシェアしよう!