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11.甘く溶けていく 37
やばい! 鍵が開いたということは父さんと母さんが帰って来たんだ⁉︎
つか、予定よりだいぶ早いんだけど!
瞬時に俺はガバッと起き上がってテーブルから降りたち、服を直す。
……すると。
「千秋ー! ただいまー!」
ドカドカという足音はまっすぐリビングダイニングに向かい、ドアを開けたのは親戚の結婚式に行っていた父と母。
あ、危なかった……。
もうすぐで息子のアブナイ現場を見られるところだった。
服を脱いでなかったことが幸いしたけど、心臓はばくばく音をたてている。
「ただいまー、あれ? 新藤くん来てたの?」
「おじゃましてます」
新藤ときたら涼しい顔をして挨拶をかましているし、俺ばっかり焦ってるみたいでなんかむかつく。
「おぉ、君が新藤くんか。千秋が仲良くしてもらっているみたいで」
母さんはもちろんのこと、父さんも初めて新藤に会えたからとテンション上がりまくりだし。
「帰ってくんの、夜じゃなかったのか?」
思わず不機嫌そうに聞いてしまってけど、母さんはそんなの気にも留めずにキッチンに置いてある鍋を指差した。
「思ったより道が空いてたからはやく帰れちゃったのよ。あら、このシチューはどうしたの?」
「僕が作りました。お腹減ってませんか? 温めましょうか?」
「そうなのー? いただこうかしら。千秋は何も作れないから新藤くんに迷惑がかけちゃったのね? ごめんなさいね」
「好きでやってるので気にしないでください」
そして2人は新藤のシチューを食べて談笑して満足そうにしている。
新藤も楽しげに話をしてるから、なんだか自分だけが話題に取り残されたような気分だ。
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