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17.その目で見つめて 13

そんな女々しい俺は、……やっぱり女がいいのかな? とか考えてしまったりして。 あー俺、うぜー。辛気くせー! 修平は俺のことが好きだと言ったんだ。自信持てよ、俺。 「どうかした?」 いろいろ考えていたら修平が顔を覗き込んできてびっくりしたので、慌ててしまった俺はとっさに思いついたことを言ってみた。 「いや、スカートってさ、すげースースーするからさ」 すると修平は俺の太ももに手を乗せてスネに向かって軽く撫でる。 「……っ、おい……」 「千秋ってすね毛とか薄い方だったけど、ちゃんと剃ってあるんだ? スベスベだね」 「あおいちゃんにムリヤリ剃られたんだよ」 「そう……」 すると修平はいきなり俺の頭を引き寄せて、唇を塞いだ。 「ふぐっ……ッ……ンンッ……」 容赦なく押し入られた舌先が俺の口内を暴れ周り、舌を弄んだかと思うと歯列をなぞられ、また舌を絡める。 修平の舌が上顎に達したとき、芯からゾクゾクッとしたような気がして修平の服をぎゅっと掴んだ。 「ふっ、……んっ、ッ……」 息も出来ないほどのキスに酸欠になり、されるがままになっているとやっと唇が解放される。 そして目が合うと修平はにっこり微笑みながら、俺の口の端を指で拭いた。 「よだれが垂れてる」 「それは、お前が……」 そう言い掛けたところで観覧車が地上に戻り係員によってドアが開けられたので言葉を飲み込むしかなかったけど、しばらく動悸が治まらなかった。 観覧車を降りると、修平は俺の手を取って出口の方へと歩き始めた。 「お、おい。もう手はいいだろ」 「千秋は僕と手を繋ぎたくないの?」 「そんなわけじゃねぇけど」 「せっかくだから駅前寄ってこうか。もう少し千秋とデートしたい」 そんな風に子供みたいな笑顔で言われたら断れないだろ。 ……つか、断る気もなかったけど。 今日の俺は女の格好してるし、ナンパ野郎が間違えたくらいだ。 こうやって手を繋いで堂々とデートなんてなかなか出来ないと思うと嬉しくなって修平の手を強く握り返した。

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