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17.その目で見つめて 16
修平の家につくとそのまま部屋へと向かい、俺をベッドに座らせた。
そして、修平は俺の前に膝をついて座る。
「……千秋。嫌な思いさせてごめん」
「べ、別に。さっきの何だ? 元カノとかか? 年上っぽいよな?」
「……うん、まぁ」
歯切れの悪い言い方ではあったが、自分で聞いておきながら肯定されると意外にきつい。
それで一瞬だけ伏し目がちになってしまった俺を見て、修平の声は焦っているのか少しいつもと違った。
「元カノと言うほど付き合ってない。すぐ会わなくなったし」
そこまで言うと修平は自分の頭をガシガシと搔いて大きなため息をついた。
「……自分が情けない」
「えっ?」
「千秋の信用を失わないか怖いんだ」
「どういう意味?」
「……確かに昔は気まぐれな部分があったんだ。でもそれは千秋を好きになる前の話で……」
そこまで話すとまたため息をつき、修平は正座し直して俺に向かって言う。
「千秋のこと絶対に裏切らないから! 信じて!」
別に俺は修平が裏切るかもとか、信じられないとか思うわけねぇのに。
慌てている様子を見ていると、それだけ修平にとって俺は失いたくない存在なんだなって思ってホッとした。
過去のことは……そりゃ気になるけど、大事なのは今だと思うし。
俺はベッドから降りると修平の膝の上に跨るように座って修平を抱きしめた。
……怖いのは俺の方だ。
今まで誰とも付き合ったことがないからかもしれないけど、この幸せに終わりが来たらどうしようって漠然とした不安はいつもあって。怖くて怖くてたまらない時もある。
「信用してやるから、捨てるなよ」
本当はもっと可愛げに言うべきなんだろうけど、天の邪鬼な俺はこういう風にしか言えない。
偉そうになんか言うつもりもなかったのに。俺はやっぱり怖がりだ。
そして、いつもは修平に先を越されるキスを自分から落とした。
軽く触れ合った唇が離れると修平の言葉が聞きたくなる。
「俺のこと好きだろ?」
「もちろん大好きだよ」
「じゃあ、いっぱい好きって言ってくれよ」
不安になんかならないくらいに、いっぱい。
そして俺はまた修平にキスをする。
唇をこじ開けて舌を入れると修平の舌も絡まってきた。
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