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18.背中合わせ 11
こんな状態で授業なんて受けられそうになかった俺は、頭が痛いと適当に言って午後の授業は保健室で寝かせてもらうことにした。
そしてカーテンで仕切られた空間の中で修平の言葉を思い出してしまう。
突然理由もなく別れるってなんだよ。
修平が突然前触れもなく言うわけがない。
きっと昨日、カナたちと何かがあったんだ。
別れないと何かするとか言われたに違いない。
でも、前に会ったときは強気で追い払っていた修平がカナの言うことを聞く理由はいったい何なんだ?
眼鏡の女情報によれば、カナの他に男もいたって言ってたよな?
殴られて脅された?
でも顔とか見えるところにはそんな様子はなかったし、見えないとこを殴られたとか?
明確な理由が見あたらないと不安になってくる。
『飽きたんだよ……』
あれは堪えたな……。
しかも無表情で言われると余計にくる。
でももし、それが本心だったら?
いやいや、ありえないと思いながらかぶりを振った。
あれだってカナに言われて……。
カナに言われて言ったはずだと自分に言い聞かせるように思っていると頬に冷たい感触がつたった。
そして触ってみて初めて涙だったことに気付く。
こんなことで泣くなんて情けないと思う反面、一番そうなってほしくないことが現実になりそうで怖い。
そして自然と楽しかった日々を思い出していた。
一昨日のことなのに、もう何年も前のことみたいだ。
枕に顔を押し付けて心のざわざわが通り過ぎていくのを静かに待とうとしても、それは通り過ぎるどころか留まり大きな塊になっていく。
怖くて怖くてたまらない。
でも、ここで俺が引き下がってしまったら本当に終わってしまう気がした。
そんなの嫌だ……。
でも、あれが修平の本心だったら、食いついていけばもっと嫌われるよな。
それも怖い……。
でも諦めてこのまま終わってしまう方が嫌だ!
修平は俺のことが好きだと言ってくれた。
昨日今日で変わるはずがない。
だから、絶対に諦めたりしない。
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