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20.ねがいごとひとつ 29
やっと修平に初勝利したって思った矢先にこんなキスしてきて、修平も意外と負けず嫌いなのか!?
お前に本気出されたら俺なんて打つ手ないし……。
でも、心のどこかで修平には敵わないと思いながらもやっぱり悔しさがふつふつと沸き起こってくる。
絶対に今度こそは、覚えてろよ。
今度は俺がエロキスでお前を骨抜きにしてやるんだから!
初勝利目前に逆転されてしまい無念のリタイアは悔しいけど、若干前屈みで非常階段を下りながらリベンジを誓い、修平の腕をぐいぐいと引っ張った。
「おい、修平! 次は俺だってエロいキスで修平の腰を抜かせてやるんだからなっ! 覚えてろよ!」
すると振り向いた修平はニヤリと笑った。
「え? じゃあ、千秋は今のキスで腰抜けたの?」
思わず“しまった”って顔をしてしまったけど、修平が可笑しそうに笑ってるのを見て、またからかわれたんだと思った。
「お前、知ってて言ってるだろ⁉︎」
「そんなことないよ。へーそうだったんだ〜って思っただけだよ?」
「わざとらしいんだよ!」
するとクスクスと笑った修平が目を細めた。
「なんか僕ね、好きな子にはちょっと意地悪したくなっちゃうんだよね。ごめんね」
「ほら見ろ! 知ってて言ってるんじゃないか‼︎」
すると修平は笑いながらまた、ごめんね。って言って握り締めた手に力を入れてきた。
謝ってはいるけど絶対に反省なんかしてない。
でも、俺はその自分の詰めの甘さに気付けなければ……一生、勝てそうにないかもしれない。
悔しいけどそんなやつを好きになってしまったが、やっぱり運の尽き。
柏木千秋、かなり惜しいとこまで行ったものの……やはり未だに勝率0パーセント!?
=第2部 終了=
(高校生編は終了。番外編を挟んで、第3部へ→)
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