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20.ねがいごとひとつ 28
背けた表情はいつもと変わらないのにその耳だけが真っ赤になっていて、思いもしなかったことに今度は俺の方が驚いてしまった。
「修平、耳赤い」
「…………」
そう俺が言っても修平は何も言わず、さらに怪訝そうに軽く眉間にしわを寄せたりしていて、その珍しい表情にキュンとしてしまったと同時になんかムラムラしそうになったが、そこであいにく予鈴が鳴ってしまった。
せっかくこれからって時なのに。でも、次の授業は遅れると厄介な先生の授業だ。
受験勉強を頑張ると宣言した矢先から遅れたりサボったりしては元も子もない。
「修平。予鈴鳴ったし帰るか」
この続きは放課後にでもからかってやろう。
そう思いながら修平に悲願の初勝利をした気分を噛み締め立ち上がると、今度は修平の方が俺のネクタイを掴んで体ごと引っ張ってきた。
そして俺がバランスを崩すと同時に修平の唇が俺のを塞ぐと、開いた隙間から舌が入って来る。
「んっ…ッ…ッん……んん」
修平のはさっき俺の方からしたようなキスとはまるで違って、歯列をなぞり、口内を余すとこなく舐められて、ピチャピチャと音を立てながら舌が絡まる。
そんな修平の本気のキスによって一瞬にして力が抜けると、俺は修平にしなだれかかっていた。
唇が離れ顔を上げてみると、ぺろっと自分の口の端を舐めながら修平は俺のことをじっと見つめていて、その表情にもドキッとしてしまう。
な、なんだよ! いきなりすぎんだろ!
つか、こんなエロいキスされたら他のとこが反応しそうになって困んだろ!
「修平……本気のはヤバいって」
結局はこうなるのかと、俺が敢え無く白旗をあげると修平は満足そうに微笑みながら啄ばむようなキスをして立ち上がり、俺の手を引いた。
さっきまでちょっと可愛いかもとか思ってたのに、なんだよこれ。
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