403 / 622
番外編⑤ 腐女子彼女と親友たちの日常 2
「大貴 、今日の置き石はいくつにするんだ?」
「今日は互先 にしようよ」
「じゃあ、わしの圧勝じゃな」
──毎朝の起床は5時。
軽く運動してから朝食前にじいちゃんと碁を一局打つのが日課だ。
じいちゃんは強いからいつも置き石を置いてハンデをもらってる。
でも今日は何となくハンデなしで打ってみたくなった。
……ま、結果はじいちゃんの言うとおり、じいちゃんの圧勝だったけど。
朝食を食べて部屋に戻るとスマホの画面に受信したラインのメッセージが表示されていた。
それは彼女からで、昨日のラインの返事が出来なかったことを謝る内容だった。
塚本さんと付き合い始めて結構経つけど、俺たちの関係は……あまり変わらない。
呼び方だって名字のままだし、手は触れただけで塚本さんが慌てだす。だからその先なんて論外。
照れるしぐさは可愛いし、見ていて癒されるからいいんだけど……。
──たまに、本当に付き合ってるのかなとか思ってしまう。
今まで付き合った人数は2人。
1人目の彼女とは高1の夏休み前に付き合うことになったものの、その夏休みの終わりとともに振られてしまった。次に付き合った子とは順調そうに思えたが、他校だったからか次第にすれ違って。
塚本さんはどの子ともタイプが違っていた。
最初はただ不思議ちゃんタイプの子なのかと思っていたけど、ちゃんとした目標を持っていてそれに向かって頑張っている。
BLって世界は俺にはまだわからないけど、特に嫌悪感も抱いていない。
彼女からすれば今まで隠してきた趣味をオープンにできる相手が彼氏で嬉しいと言ってくれているし、その相手が俺って言うのも嬉しいし、彼女の趣味や夢は尊重したい。
そんなことを思いながら、気にしなくて良いよと返信して制服に着替え始めた。
ともだちにシェアしよう!