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番外編⑤ 腐女子彼女と親友たちの日常 3
学校に着くと教室では新藤と柏木が話をしていた。
付き合うきっかけをくれたこいつらには感謝してるけど、実は柏木に少し嫉妬……というか羨ましさに似た感情を抱いていたりする。
今でこそ塚本さんは考えることが俺の総攻めになるって言っているけど、それまでは柏木が総受けになる妄想ばかりしていたらしい。
きっとそう変化したのだって、俺が告白したからだろうし。
だから、何もしなかったら今も変わらず柏木の総受けだったのだろうな……って、考えてしまうと少し複雑なわけで。
「内川ー、おはよー」
柏木が俺に気付いて手を振る。
「おはよう」
こんな感情を親友に抱くなんて、俺って駄目なヤツだと思いながら近寄ると、柏木は新藤に勉強を教わっていたらしい。
「朝から勉強? 偉いじゃん」
「当然だ! 受験生になるからなっ!」
俺が言うと柏木は得意気に笑った。
あの柏木が勉強し始めるくらい、教室の空気もそろそろ受験色に変わってきたし、俺も将来のことを考えないといけない時期になっていた。
自分のこともそうだけど、彼女と進路について話したこともまだなくて、気になるのは彼女がどこの大学目指しているのかということとか。問題は山積みだ。
はぁ……と自分でも無意識にため息つくと、それに新藤が気付いた。
「どうかしたの?」
「あ、いやー別に……」
「なんだ? 悩みなのか?」
すると今度は柏木が首を傾げると、新藤が俺をのぞき込むようにして、「……もしかして、塚本さんのこと?」と核心を突いてきた。
やはり新藤にはわかってしまうのだろうか?
「うん。まぁ……」
「どうした? 上手くいってんだろ?」
「そーなんだけど」
じゃあ、なんだよと柏木が言うのを軽くかわして新藤に聞く。
こういうことは新藤に相談するのが一番かもしれない。
「新藤はさ、彼女とどうなんだ?」
「どうって?」
「いや……あの、新藤と彼女は、もう最後まで行ってんだろうけど……」
手すら上手く繋げないからアドバイス貰おうと新藤に尋ねた。
「新藤はどんな風に手繋いだりキスしたりしたんだ!?」
「ブオッフォッフォッ」
すると何故か突然、柏木がむせだした。
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