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番外編⑤ 腐女子彼女と親友たちの日常 9
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次の日、俺は昨日の成果を新藤に報告していた。
「悩みも解決したならよかったね」
「うん。新藤のアドバイスのおかげだ」
「僕は何もしてないけどね」
クスクスと笑う新藤の横で柏木が少し不貞腐れたような顔をしながらジュースを飲んでいたので、柏木にも昨日の話を聞かせてやることにした。
「前にさ4人で遊園地行った時に書いてたっていう柏木の総受けの話あったじゃん! あれ、お前は転校生で腹黒生徒会長の新藤に目をつけられるとこから始まるらしいぞ」
するとわかりやすい柏木はジュースを盛大に吹き出して少しむせながら俺の事を睨みつけた。
「はぁ⁉︎」
「昨日聞いたんだよ。柏木の話はどんなの書いてたのかって」
「な、何聞いてんだよ!」
「話の流れでさ、だってなんか気になるじゃん。で、転校生のお前がさ、物腰は柔らかいけど実は腹黒い策士の新藤生徒会長に目をつけられて、風紀委員長とか不良にもモテまくる話らしい。ちなみに俺は寮の同室の生徒だ」
すると柏木は聞きたくないとばかりに耳を塞いだが、逆に新藤の方は興味を示したようだった。
「へぇ〜、僕は策士の生徒会長なのか」
「なんでもにっこりと微笑みながら近づいてきて、最初は嫌がる柏木を無理やり自分の部屋に連れ込むんだけど、どんどんその気にさせていくらしい。そして、柏木が落ちたら今度はめちゃくちゃ溺愛するんだってさ」
「まるで僕と僕の恋人の話みたいだね」
「ブォッホッ!」
新藤が微笑みながら返したのと同時に柏木はジュースが気管に入ったようでむせていた。慌てて飲んでいるからだ。
そんな柏木は放っておいて今は新藤の話が気になる。
「そうなのか? 新藤が腹黒いとかあんまイメージなかったけど」
「そう? 僕は結構、腹黒くて策士な方だよ。ねぇ、千秋もそう思うよね?」
突然話を振られた柏木は、自分に話が振られるなんて思っていなかったのか、またむせながらこっちを睨んでいる。
「知るかボケェ!」
ジュースが気管に入ったことがよほど気に障ったのか不機嫌そうな柏木だったけど、新藤はそんな柏木など気にすることもなくクスクスと笑っていた。
「参ったなぁ〜どこかで塚本さんに観察されちゃってたのかなぁ」
頬杖をつきながら笑う新藤を見ながら、昨日は2人で新藤が本当にそうなら面白いねって話をしたばかりだったんだけど、新藤は意外にも腹黒策士な方だったのか。
今度みのりに、あながち外れてなかったらしいって教えてあげよう。
「腐女子彼女と親友たちの日常」=END=
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