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番外編⑥ 千秋と修平と受験と受難⁉︎ 2

ある日、テストが返ってきたとき担任に言われた。 「柏木、次のテストでは75点以上取らないと志望校……難しいと思うぞ」 そう言われた答案用紙には64点の文字が。 修平に教えてもらいながら受験勉強を進めてきて、俺の成績は上がりつつあった。 しかし、今までまともに勉強しなかったつけが回って志望校にはまだまだ届かず、最近は上がりつつあった成績も横ばいだ。 修平はまだ時間はあるから大丈夫だって言うけど、やっぱり焦る。 こんなんで本当に大学受かるのかな……って、柄にもなく弱気になったりして。 その日、今日返ってきたテストの復習を修平の家でやっていた。 「ここはこっちに代入しないと」 「そうだったのか……」 修平の教え方はわかりやすい。 俺が理解しやすいように言葉を変えて教えてくれるから、授業で聞いているより内容が頭に入ってきやすい。 でもこいつも同じ受験生だと思うと、貴重な時間を割いてもらって悪いな、とか思ってしまう。 そう思いながら修平のことを見ていると、教科書に視線を落としていた修平が顔を上げた。 「どうかした?」 「……いや、なんかいつも悪いなって、思って」 「どうしたの急に」 「だってお前も同じ受験生じゃん」 「千秋に教えることで復習になるから大丈夫だよ」 そう言ってくれるから甘えてしまってるけど、本当にこれでいいのかな。 俺のレベルで修平の復習に果たしてなるのだろうか? そう思えば思うほど、負担になっているんじゃないかって心配になってしまうのだ。 「でもやっぱり悪い気がする……」 「気にしなくていいって」 「母さんも言ってるんだよ。修平に悪いから家庭教師とかに頼もうかって」 そう言ったとこで修平が目を軽く見開くときっぱり言いきった。 「それは絶対にダメ!」 「な、なんでだよ……」 「千秋を僕以外の人と部屋で2人っきりになんかさせたくない!」 ……いやいやいやいや、勉強するだけなんだけど。 それに問題は、お互いに受験生なのに悪いってだけの……話じゃない。

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